算数・数学は、学年が上がるほど前の学年の理解がそのまま次の単元に影響する教科です。どの単元でつまずいているのか分からないまま個別に検索すると、学年をまたいだつながりが見えにくくなります。
この記事で分かること
- 小5・小6から中2までの算数・数学が、学年をまたいでどのようにつながっているか
- 学年ごとにどの単元でつまずきやすいか(学年別ガイド)
- 内申点・声かけ・教材など、教科の外側から支える工夫の探し方
対象:小学校 平成29年告示 学習指導要領(2020年度全面実施)算数編・小5・小6 対象:中学校 平成29年告示 学習指導要領(2021年度全面実施)数学編・中1〜中2
算数・数学は何を学ぶ教科か
算数・数学は、数と計算(数と式)・図形・量と測定・データの活用という領域が、学年を追うごとに積み上がる教科です。小学校の「数と計算」で身につけた考え方は、中学校の「数と式」でそのまま使う土台になります。
図形も同じ構造です。小学校で角度や面積を求めるときに使う考え方が、中学校の平面図形・空間図形の学習の前提になります。この積み上げがあるため、ある学年でつまずいたまま次の学年に進むと、前提が抜けた状態で新しい単元に取り組むことになります。
保護者の方が「どこでつまずいているか」を学年をまたいで把握できると、遡って確認する範囲を絞り込みやすくなります。単元ごとに検索して情報を集めるより、先に全体の順番を知っておくほうが、次に何を確認すればよいか判断しやすくなります。
たとえば中1の一次方程式の文章題でつまずいている場合、原因が方程式そのものではなく、小5の割合の理解にあることも珍しくありません。学年をまたいだ地図を持っておくと、どこまで遡って確認すればよいかを判断しやすくなります。
本記事が扱う範囲は小5・小6から中2までの算数・数学です。小4・中3の単元、および国語・理科・社会の学習は本記事では扱いません。これらは学年別中間ハブや別の教科ハブの整備に合わせて、今後扱う予定です。
学年をまたぐ学習の順番
小5・小6から中2までの算数・数学は、量の意味を固める段階から、その関係を式で表す段階へと進みます。下の図は、本記事が扱う範囲を4段階に分けたものです。

段階1の小5では、割合の文章題・図形の角度・単位量あたりの大きさを通じて、数量の意味を正確につかむことを重視します。段階2の小6では、分数の乗法・除法によって、分数を含む計算の理解を仕上げます。
段階3の中1では、正負の数と文字式によって、量を文字に置き換えて扱う考え方が加わります。空間図形の表面積、および錐体・球の体積も、この段階で新しく学ぶ内容です(角柱・円柱の体積は小6で習った内容の復習にあたります)。段階4の中2では、連立方程式と一次関数によって、2つの量の関係を式で表し、その関係を読み取る力が求められます。
学年が上がるほど、前の段階で固めた考え方をそのまま使う場面が増えます。段階1・段階2の量と計算の理解があいまいなまま段階3に進むと、文字式の意味が実感を伴わず、計算だけの作業になりやすくなります。
学年別ガイド
学年ごとに、主な単元とつまずきやすい点を短くまとめます。教え方の詳しい手順は、それぞれの記事で確認できます。
小5算数の主な単元は次のとおりです。
- 割合の文章題のつまずき:もとにする量と比べる量を混同しやすい単元です。
- 図形の角度のつまずき:三角形の内角の和が前提になる単元です。
- 単位量あたりの大きさのつまずき:割り算を使って比べる考え方でつまずきやすい単元です。
学年全体の単元構成は小5算数の攻略ガイドにまとめています。
小6算数の主な単元は次のとおりです。
- 分数のわり算のつまずき:わる数をひっくり返す操作の意味でつまずきやすい単元です。小5までに習った分数の意味と加法・減法の理解が土台になります。
中1数学の主な単元は次のとおりです。正負の数から文字式・一次方程式・比例と反比例・空間図形の表面積へと進みます。
- 正負の数のつまずき:符号のミスが起きやすい単元です。
- 文字式のつまずき:かっこの外し方でつまずきやすい単元です。
- 一次方程式の文章題のつまずき:立式の手順に詰まりやすい単元です。
- 比例と反比例のつまずき:表とグラフの対応が混同されやすい単元です。
- 空間図形の表面積のつまずき:角柱・円柱の体積は小6の復習にあたり、中1で新しく求め方を学ぶのは柱体・錐体・球の表面積と、錐体・球の体積です。展開図の使い方でつまずきやすい単元です。
中2数学の主な単元は次のとおりです。連立方程式と一次関数が中心です。
- 連立方程式の文章題のつまずき:2つの文字の設定に詰まりやすい単元です。
- 一次関数のつまずき:変化の割合とグラフの傾きの関係でつまずきやすい単元です。
いずれの学年も、単元の名前だけを覚えるより、前の単元との関係を意識したほうがつまずきの原因を特定しやすくなります。
学年をまたいで詰まりやすいところ
前の学年のつまずきが、次の学年のどこに響くかを表にまとめます。
| 前の学年のつまずき | 次に響く単元 | 何が起きるか |
|---|---|---|
| 小5 単位量あたりの大きさ | 小6 分数のわり算 | 割る数と割られる数の関係をつかめないまま計算だけを覚えてしまう |
| 小6 分数のわり算 | 中1 文字式・一次方程式 | 分数を含む式の計算で手が止まりやすくなる |
| 小5 割合の文章題 | 中2 一次関数 | 変化の割合の意味がつかみにくくなる |
| 小5 図形の角度 | 中1 空間図形の表面積 | 展開図の面を求める計算でつまずきやすくなる |
| 中1 正負の数 | 中1 文字式・一次方程式 | 符号のミスがそのまま計算全体に響く |
| 中1 比例と反比例 | 中2 一次関数 | 比例との違いが整理できないまま先に進む |
表からも分かるとおり、小5・小6の量と計算の理解、そして中1の正負の数は、複数の単元に影響する土台です。ここでつまずいている場合は、該当する学年別ガイドの記事から順番に確認すると、原因を辿りやすくなります。
同じ単元名でも、前の学年での理解の深さによって次の学年での詰まり方は変わります。学年別ガイドの各記事では、この対応関係もあわせて示しています。
この教科の勉強のしかた
単元ごとのつまずきが分かっても、復習をどの順で進めるかは別の判断です。教科の復習順の決め方 積み上げ型と暗記型では、順番を教科名ではなく単元のつながりで決める考え方を扱っています。前提を1つずつ戻る手順と、暗記が中心の内容を範囲で区切る考え方もあわせて整理しています。
算数でつまずいたとき、前の学年までさかのぼって復習すべきかどうかの判断基準は、算数は前の学年に戻って復習すべきかで扱っています。本記事が学年をまたいだ単元の位置づけを示す全体地図であるのに対し、上記の記事は算数に絞って復習の要否を判断する内容です。
テスト・内申との関わり
中学校に入ると、定期テストの点数や提出物などが内申点として評価に加わります。内申点の算定基準は学校・都道府県によって異なるため、本記事では仕組みの全体像には触れません。
中2の内申点をどう優先順位づけして上げていくかは、中2内申点を2学期で上げるための優先順位で扱っています。定期テストと内申点の関わりが気になる場合は、あわせて確認してください。
家庭学習の進め方
単元の内容が分かっても、家庭で毎日机に向かう習慣がなければ定着は進みにくくなります。「勉強しなさい」と言っても動かない場合の声かけの工夫は、勉強しなさいと言わずに机に向かわせる工夫で扱っています。
問題集を買っても最後まで進まないという状況もよく聞かれます。1日に進めるページ数や周回のさせ方は、買った問題集を最後までやらせる進め方で扱っています。算数・数学は、進め方次第で定着の速さが変わりやすい教科です。
教材の使い方だけでなく、1日の学習時間の配分を教科ごとに見直すことも有効です。声かけと教材の使い方は、どちらも単元の理解そのものではなく、理解に至るまでの環境を整える工夫です。
【出典】
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説」一覧ページ(【算数編】収録) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387014.htm (2026-09-21 確認)
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説」一覧ページ(【数学編】収録) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387016.htm (2026-09-21 確認)
※学習指導要領は改訂されることがあります。本記事の記述は上記告示時点のものです。
まとめ
- 算数・数学は、数と計算(数と式)・図形・量と測定・データの活用という領域が学年をまたいで積み上がる教科です。
- 本記事が扱う小5〜中2の学習順は、量の意味を固める小5、分数の計算を仕上げる小6、量を文字に置き換える中1、関係を式で表す中2という4段階です。
- 前の学年のつまずきは、複数の単元に影響することがあります。特に小5の単位量あたりの大きさ、小6の分数のわり算、中1の正負の数は、影響する範囲が広い単元です。
- 内申点・声かけ・教材の使い方、そして教科全体の復習順の考え方は、単元の理解とは別に家庭学習を支える要素です。
- 小4・中3、および国語・理科・社会は、学年別中間ハブ・教科ハブの整備に合わせて今後扱う予定です。
本記事は家庭学習の参考情報であり、学校・専門機関の指導に代わるものではありません。 学習指導要領・教科書の内容は改訂されることがあります。最新の情報は学校・教育委員会にご確認ください。 → 免責事項
最終確認日:2026-09-21