小6算数 分数のわり算のつまずき 教え方|教え方の地図

小6の分数のわり算の教え方を解説する記事のアイキャッチ 単元別のつまずき解説

分数のわり算で「なぜわる数をひっくり返すのか」と聞かれて詰まる場合は、手順だけが先に身についている可能性があります。ひっくり返す操作は、わる数を1にそろえるためのものです。この理由を先に伝えておくと、取り違えを減らしやすくなります。

この記事で分かること

  • 分数のわり算で、わる数をひっくり返してかける理由を、保護者の言葉で説明する方法
  • つまずきの正体と、取り違えを防ぐ4つの教え方の手順
  • 自作の確認問題と、間違えやすい箇所の整理

本記事は、わる数が分数の場合(÷分数)に絞って扱います。学年をまたいだ算数・数学の学習順は、算数・数学の学び方にまとめています。

対象:小学校 平成29年告示 学習指導要領(2020年度全面実施)算数編・小6

小6の分数のわり算では何を学ぶか

学習指導要領(小学校 平成29年告示)解説 算数編では、分数の乗法及び除法は第6学年の「A数と計算」に置かれています。小5の分数は、意味と表し方を学び、通分を使ったたし算・ひき算まで進みます。分数×整数・分数÷整数も、現行の課程では第5学年から第6学年へ移されました。

「わる数をひっくり返してかける」操作について、解説は次のように述べています。

「内容の取扱い」の(1)に示す逆数については,除法の計算は逆数を用いることによって乗法の形に置き換えることができることを指導する。

(文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編」第6学年 A(1)分数の乗法,除法 ア 知識及び技能 (イ) 分数の乗法及び除法の計算 印刷p.288)

つまり、ひっくり返してかける操作は、覚えやすくするための裏ワザではありません。学習指導要領に位置づけられた、計算の考え方そのものです。

解説は、計算の仕方を多面的に考えられるようにすることを求め、分数の除法にも複数の計算の仕方を例示しています。理由の伝え方も、家庭の状況に合わせて複数から選べます。この単元は、解説の位置づけでは、小学校で学ぶ数の四則計算のまとめです。

分数のわり算でつまずく3つの取り違え

お子さんの手が止まる場面は、計算力の不足というより、次の3点のどこかが空白になっている形で現れやすくなります。3点は空白になる場所が別々なので、どこが空白かを見分けてから教えるほうが、遠回りを避けやすいです。

  1. ひっくり返す理由が空白のまま、手順だけを覚えている。 「÷を×にして、わる数の分母と分子を入れ替える」という手順は、理由がなくても実行できます。そのため同じ形の計算は解けても、「なぜわり算がかけ算になるのか」と聞かれると止まります。数値や形が少し変わった問題では、手順そのものが崩れやすい状態です。
  2. ひっくり返す対象と、書き換えの2か所を取り違える。 操作は「わる数だけを逆さにする」と「÷を×に書き換える」の2つが同時に起きます。片方が抜けると、わられる数まで逆さにする、÷のまま逆さにする、といった誤りになります。
  3. ÷を使う場面を、文章から判断できない。 文章題では、何を1とみて、その1あたりの大きさを求めるのかを読み取る必要があります。この判断は、小5で習う単位量あたりの大きさが土台です。曖昧な場合は、先に小5 単位量あたりの大きさのつまずきで前提を確認すると教えやすくなります。

どの点が空白になっていそうかは、お子さんの様子から見当をつけられます。次の表は、編集部が整理した目安です。お子さんの理解度を判定するものではありません。

お子さんの様子空白になっていそうな点先に確認すること
手順どおりに計算できるが、理由を聞くと答えられない1(理由)手順3の「1あたり」から見る説明
答えが毎回ずれるが、どこで間違えたかが分からない2(対象と書き換え)手順1(わる数の確認)と手順4(書き直し)
計算はできるが、文章題で式が立てられない3(場面)手順2(「1あたり」の確認)と前の単元

分数のわり算はなぜひっくり返してかけるのか:教える4つの手順

理由を先に見せてから、計算に入る順で教えます。流れは、わる数の確認、場面で意味をつかむ、わる数を1にそろえる、かけ算に直して確かめる、の4段階です。

分数のわり算を教える4つの手順を示した図

以下は、5/6 ÷ 2/3 を例にした手順です。文中の分数は、式の中では 5/6 のように書き、読むときは「6分の5」とします。

  1. わる数を指差しで確認させる。 5/6 ÷ 2/3 なら、÷の右にある 2/3 がわる数で、左の 5/6 がわられる数です。このあとの操作はわる数だけに行うため、最初に対象を固定しておくと迷いにくくなります。
  2. 場面にして「1あたり」を求める式だと確認させる。 「2/3 時間で 5/6 km 歩いた。1時間あたり何kmか」という場面に置き、1あたりを求めるからわり算になる、と言葉にさせます。小5の単位量あたりの大きさと同じ形のため、÷を使う根拠が、計算の前に場面から立ち上がります。
  3. わる数を1にそろえる操作を見せる。 2/3 時間を「1/3 時間の2つ分」と見ると、1/3 時間あたりは「2でわる」、1時間あたりはその3つ分で「3をかける」です。「2でわって3をかける」は「1/2と3をかける」と同じなので、まとめると 3/2 をかける形になり、これが「ひっくり返す」の正体です。場面を先に作ってから見せると、操作が理由と結びつきやすくなります。
  4. かけ算に書き直し、約分してから計算し、大きさを確かめさせる。 5/6 × 3/2 に書き直し、3と6を約分して 5/4 を得ます。わる数の 2/3 は1より小さいため、答えはわられる数の 5/6 より大きくなるはずです。最後に見積もりを置くと、取り違えに自分で気づく機会になります。

手順3の補足:「ひっくり返す」理由を伝える2通りの言い方

手順3は、お子さんの様子に応じて2通りの伝え方を選べます。どちらも結果は同じ × 3/2 になります。

伝え方中身向く場合
「1あたり」から考える2/3時間で5/6km。1/3時間あたりは÷2、1時間あたりはそれを3つ分(×3)にする場面や図から理解したい場合。手順2の場面に続けて話せる
わる数を1にするわる数の2/3に3/2をかけると1になる。わられる数にも同じ3/2をかけて、商を変えない式の形から理解したい場合。整数のわり算で習った性質を使う

「1あたり」から考える場合の流れは次のとおりです。2/3時間で5/6 km進むので、1/3時間あたりは 5/6 ÷ 2 = 5/12 km です。1時間は1/3時間の3つ分なので、5/12 × 3 = 15/12 = 5/4 km になります。

「わる数を1にする」伝え方は、除法の性質を使います。解説は、この性質を次のように述べています。

また,除数及び被除数に同じ数をかけても,同じ数で割っても商は変わらないという除法の性質がある。

(文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編」第6学年 A(1)分数の乗法,除法 ア 知識及び技能 (ウ) 計算に関して成り立つ性質の分数への適用 印刷p.288)

この性質を使うと、5/6 ÷ 2/3 は、わる数もわられる数も 3/2 倍にして次のように変形できます。

(5/6 × 3/2) ÷ (2/3 × 3/2) = (5/6 × 3/2) ÷ 1 = 5/6 × 3/2

÷1 は何も変えないため、5/6 × 3/2 だけが残ります。性質を使う説明が抽象的に感じられるお子さんには、面積図などの図に置き換える方法も、解説は挙げています。

お子さんが理由を理解できている様子であれば、理由を丁寧に見せるのは手順3の1回目だけでも足ります。以降の練習では、手順1・2・4を繰り返すのが基本です。手順3は「わる数を1にそろえる」という一言で思い出せる形に縮めていく進め方もあります。理解が曖昧な様子であれば、手順3の場面に戻ってもう一度見せてください。

確認問題(編集部作成)

上の4手順で解ける自作の類題を2問置きます。問1は計算、問2は「1あたり」を求める文章題です。

【確認問題】(編集部作成)

問1 4/9 ÷ 8/15 を計算し、答えを約分した形で書く。

問2 7/10 平方メートルの花だんに、肥料 2/5 kg をむらなくまきました。1平方メートルあたり、何kgまいたことになりますか。

【解答】

問1 4/9 ÷ 8/15 = 4/9 × 15/8 = 5/6

問2 2/5 ÷ 7/10 = 2/5 × 10/7 = 4/7(kg)

【解説】

問1は、手順1で 8/15 がわる数だと確認します。手順3で、÷8/15 は「÷8して×15」と同じ操作だと見て、× 15/8 に書き直します。手順4で、4と8、15と9をそれぞれ約分すると 5/6 です。わる数が1より小さいため、答えは 4/9 より大きくなるはずです。通分すると 5/6 は 15/18、4/9 は 8/18 なので、見積もりとも合います。

問2は、手順2で「1平方メートルあたり」を求める式だと確認します。肥料の量を面積でわるので、式は 2/5 ÷ 7/10 で、わる数は面積の 7/10 です。手順3・4で × 10/7 に書き直して約分し、4/7 kg を得ます。7/10 は1より小さいため、答えは 2/5 より大きくなるはずです。2/5 は 14/35、4/7 は 20/35 なので、見積もりとも合います。面積を肥料でわる式を立てると、肥料1kgあたりの面積になり、問われている量と合いません。

※本問は編集部が作成したオリジナル問題です。学校のテスト・教科書・市販ドリルからの転載ではありません。

間違えやすい罠:ひっくり返す対象と約分の順番

誤答は、ひっくり返す対象・書き換え・約分のタイミングのどこかで生まれます。5/6 ÷ 2/3 を例に、誤答が出るしくみを表にまとめます。

やりがちな間違い正しい進め方なぜずれるか
わられる数を逆さにして 6/5 × 2/3 と計算する逆さにするのはわる数だけ。5/6 × 3/2 とするひっくり返す理由(わる数を1にそろえる)が抜けると、先に目に入った分数を逆さにする操作だけが残るため
両方を逆さにして 6/5 × 3/2 と計算するわられる数の 5/6 はそのまま残す「分母と分子を入れ替える」を、式の中の分数すべてに当てはまる操作だと受け取るため
÷のまま 5/6 ÷ 3/2 と書く÷を×に書き換え、5/6 × 3/2 とする「逆さにする」と「÷を×にする」が同時に起きることを、1つの操作として覚えると、片方が落ちるため
逆さにする前の式のまま、6と2を約分するかけ算に直してから、分子と分母のあいだで約分する逆さにすると分子と分母の位置が入れ替わり、約分できる組み合わせも変わるため
帯分数のまま計算し、整数の部分にだけ操作する計算の前に仮分数に直す帯分数は整数と分数の和なので、逆さにする操作やかける操作が一部にしか届かないため

1行目と3行目の誤答は、手順4の見積もりで気づけます。どちらも答えがわられる数より小さくなり、わる数が1より小さい場合の見込みと逆になるためです。2行目と4行目は、見積もりでは気づきにくいため、手順1の対象の確認と、書き直した式の確認をすると気づきやすくなります。

解説では、帯分数の扱いは児童の実態に応じるとされています。乗除では、仮分数に直すと進めやすいことに気づければよい、という位置づけです。なお、わる数が整数のときは、整数を 3/1 のような分数と見れば、同じ手順で計算できます。

次に学ぶ単元:中1の正負の数へ/前の単元:小5の単位量あたりの大きさへ

この単元は「1あたりの大きさ」の考え方を前提にしています。手が止まる場合は前提から確認してください。本サイトの小6の学習順では、わる数が整数の場合を先に、比の単元を後に置いています。

解説は、小6の分数の乗法及び除法で育つ力が、中学校数学で「負の数」などへ数を広げたときの計算にも生かされると説明しています。中1で学ぶ正負の数は、その一例です。なお、これは解説の記述ではなく編集部の補足ですが、係数が分数の方程式を解くときにも、逆数をかけて係数を1にする操作を使います。

【出典】

  • 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説」一覧ページ(【算数編】収録) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387014.htm (2026-10-02 確認)
  • 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編」PDF https://www.mext.go.jp/content/20211102-mxt_kyoiku02-100002607_04.pdf (2026-10-02 確認)

※本文で「解説は〜」と述べた箇所のうち、引用ブロック以外は、上記の解説をもとに教え方の地図 編集部が要約・加工したものです。文部科学省が作成した文章ではありません。

※学習指導要領は改訂されることがあります。本記事の記述は上記告示時点のものです。

まとめ

  1. 分数の乗法及び除法は第6学年の内容で、ひっくり返してかける操作は、除法を逆数を用いた乗法の形に置き換える考え方です。
  2. つまずきは、理由・対象と書き換え・場面の3点のどこかが空白になる形で現れやすくなります。
  3. 教える順は、わる数の確認、「1あたり」の場面、わる数を1にそろえる、かけ算に直して確かめる、の4段階です。
  4. 誤答は、わる数だけを逆さにすることと、÷を×に書き換えることが同時に起きるために生まれます。
  5. 前の単元は小5の単位量あたりの大きさ、次の単元は中1の正負の数です。

本記事は家庭学習の参考情報であり、学校・専門機関の指導に代わるものではありません。 学習指導要領・教科書の内容は改訂されることがあります。最新の情報は学校・教育委員会にご確認ください。 → 免責事項

最終確認日:2026-10-02

タイトルとURLをコピーしました