速さの問題で、速さ・時間・道のりのどれを求めるのか分からなくなる場合は、3つの量の役割が整理できていない可能性があります。速さを「1あたり」の量として言葉にしてから式に入る順で教えると、公式を丸暗記に頼らず、式を選ぶ根拠を示しやすくなります。
この記事で分かること
- 速さが苦手になる3つの理由(役割の取り違え・式の向き・単位)
- 速さの求め方と公式を、単位量あたりの見方から説明する4つの手順
- 編集部作成の確認問題2問と、間違えやすい罠
本記事は、小5の速さ(速さ・時間・道のりの求め方)だけを扱う記事です。人数や面積を「1あたり」にそろえて比べる考え方は、小5算数 単位量あたりの大きさのつまずきで扱っています。全体像は小5算数の攻略ガイドに、教科全体の順番は算数・数学の学び方に載せています。
対象:小学校 平成29年告示 学習指導要領(2020年度全面実施)算数編・小5
小5の速さでは何を学ぶか:速さ・時間・道のりの位置づけ
速さは、第5学年の「C 変化と関係」にある「(2) 異種の二つの量の割合」に入る内容です(文部科学省の学習指導要領(小学校 平成29年告示)解説 算数編。以下「解説」)。単位量当たりの大きさも同じ項目にあります。印刷p.11の移行表には、速さの学年が第6学年から第5学年へ変わったことが載っています。
解説には、速さの式を示した次の記述があります。
速さを量として表すには,移動する長さと,移動にかかる時間という二つの量が必要になる。速さを,単位時間当たりに移動する長さとして捉えると,(速さ)=(長さ)÷(時間)として表すことができる。
(文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編」第5学年 C(2)異種の二つの量の割合 ア 知識及び技能 (ア) 速さなど単位量当たりの大きさ 印刷p.264)
この2文は、速さに長さと時間の2つの量が要ることと、式の形の根拠として引きました。解説の「長さ」を、本記事では日常の言い方に合わせて「道のり」と書きます。
速さ・時間・道のりを「1あたり×いくつ分=全部」に当てはめて説明するのは編集部の整理です。手順の組み立ては、解説の記述ではありません。
速さが苦手になる3つの理由:速さ・時間・道のりの取り違え
手が止まる場面は、役割・式・単位の3つの段階に分かれます。この3点は、解説の区分ではありません。編集部が分けて考えた見方です。
- 速さが「1あたり」の量だと見えておらず、3つの量の区別がつかない。 「時速4.5km」を「1時間に4.5km進む」と言い換えられない場合、4.5も道のりや時間と同じ種類の数に見えます。すると、問題文の数を出てきた順に式へ入れがちです。
- 求める量が変わると式の向きが変わり、3つの公式が別々の暗記事項になっている。 「道のり÷時間」は覚えていても、時間を求める問題では、どちらをどちらでわるかを数の大小や見た目で決めがちです。式を選ぶ根拠が無いため、問われ方が変わると崩れやすくなります。
- 単位がそろっていない。 分速と時速、mとkm、分と時間が1問の中で混ざります。とくに、25分を0.25時間とする、60進法と小数の取り違えが起こる場合があります。
様子ごとに、先に戻る手順の候補を並べました。原因を決めつける判定には使えません。
| お子さんの様子 | 背景にありそうな点 | 先に戻る手順 |
|---|---|---|
| 問題文の数を、出てきた順にわり算へ入れる | 1(3つの量の区別) | 手順1・2 |
| 速さを求める式は書けるが、時間や道のりを求める問題で式が逆になる | 2(式の向き) | 手順2・3 |
| 式は合っているのに、答えが日常の感覚から外れた大きさになる | 3(単位) | 手順3・4 |
速さの求め方と公式を丸暗記せずに教える4つの手順
教える順は、言葉から入ります。式から入ると、「どの式か」という暗記の問題になりやすいためです。速さを1あたり、時間をいくつ分、道のりを全部と見ると、3つの式が同じ関係の読み替えになります。

以下は、「弟が1.8kmの坂道を24分で歩きました。分速は何mですか」を例にした手順です。
- 数ではなく単位を見て、速さ・道のり・時間の札を付けさせる。 1.8kmは道のり、24分は時間です。長さの単位とともに「分速」「時速」「毎分」とあれば、速さです。数を先に拾うと、どの量か決まらないまま式に入るため、単位を手がかりにします。
- 速さを「1分あたり何m進むか」と言葉で書かせ、「1あたり×いくつ分=全部」に当てる。 速さが1あたり、時間がいくつ分、道のりが全部です。求めるものに「?」を付けます。この問題の?は速さです。この言葉が、あとで式の向きを選ぶときの根拠になります。
- 単位を1つにそろえてから、?の位置で式を決める。 分速を求めるので、1.8kmを1800mに直します。?が1あたりなので、全部をいくつ分でわります。式は1800÷24=75で、答えは分速75mです。
- 逆の式でもとの数に戻し、答えの単位を読ませる。 75×24=1800で、道のりに戻ります。答えは「分速75m」と単位まで書かせます。
3つの式は、?の位置を変えただけ
同じ「分速75m・24分・1800m」の3つの数から、?を変えて3つの式を作ります。
| 求めるもの | ?の位置 | 式 | 例 |
|---|---|---|---|
| 速さ | 1あたり | 道のり÷時間 | 1800÷24=75 |
| 道のり | 全部 | 速さ×時間 | 75×24=1800 |
| 時間 | いくつ分 | 道のり÷速さ | 1800÷75=24 |
3つの式は別々の公式ではなく、「1あたり×いくつ分=全部」の?を入れ替えたものです。前の単元の混み具合では、「1㎡あたりの本数×面積=本数」が同じ型になります。時間を求める式は、道のりの中に速さがいくつ分入るかを求める形です。
速さ・時間・道のりの図を使う場合の注意
速さ・時間・道のりを図にして覚える方法(「は・じ・き」と呼ばれる図など)を使うかどうかは、学校や塾の方針によります。使っている場合は、図の中でどれが1あたりで、どれが全部かを、お子さんが言葉で話せるか確かめておくと、図を思い出せない場面でも式を作り直しやすくなります。
確認問題(編集部作成)
手順をそのまま使って解ける類題を2問置きます。問1は時間を求める問題、問2は誤った考え方を直す問題です。
【確認問題】(編集部作成)
問1 ベルトコンベアが毎分45cmの速さで荷物を運びます。長さ7.2mのベルトの端から端まで、荷物が運ばれるのに何分かかりますか。
問2 宅配用のドローンが、時速36kmの速さで25分間飛びました。「25分は0.25時間だから、36×0.25=9で、9km進んだ」と考えた答案があります。この考え方の誤りを説明し、進んだ道のりを求めなさい。
【解答】
問1 7.2m=720cm、720÷45=16 答え 16分
問2 誤り:0.25時間は15分にあたり、25分は25/60時間です。 36000m÷60=600で分速600m、600×25=15000 答え 15km
【解説】
問1は、手順1で、「毎分」とある45cmを速さ、7.2mを道のり、?を時間と決めます。?はいくつ分なので、手順3は全部÷1あたりの式です。cmとmが混ざるため、cmにそろえて720÷45=16とします。mにそろえた7.2÷0.45でも16です。手順4は、45×16=720で戻ります。
問2は、手順1で、時速36kmを速さ、25分を時間、?を道のりと決めます。手順2は、1あたりが「1時間」なのに、いくつ分が分で表されている点の確認です。25/60時間は小数で割り切れないため、手順3では速さを分速に直します。36kmは36000mで、60でわって分速600mです。600×25=15000mで、15kmとなります。手順4では、時速36kmなら30分で18kmのため、25分の答えはそれより少し小さいはずです。
※本問は編集部が作成したオリジナル問題です。学校のテスト・教科書・市販ドリルからの転載ではありません。
間違えやすい罠:単位と式の向き
起こりやすい誤答を5つ、表にします。
| やりがちな間違い | 正しい進め方 | なぜずれるか |
|---|---|---|
| 問1で、cmとmのまま7.2÷45と式にして0.16を出す | cmにそろえ、720÷45=16 | 数だけを式に入れ、単位がそろっているかを見ないため |
| 問1で、速さ÷道のりの45÷720と立てる | 道のり÷速さの720÷45と立てる | 1あたりでわるのか、全部をわるのかを、数の大小で決めているため |
| 問2で、25分を0.25時間として36×0.25=9とする | 分速600mに直すか、25/60時間として計算する | 時間の単位は60進法で、小数の0.25と同じ読み方にならないため |
| 問2で、時速のまま36×25=900とする | 速さを分速に直してから25をかける | 1あたりが「1時間」なのに、分の数をいくつ分としてかけているため |
| 時速4.5kmと分速70mを、数の大きい70のほうが速いとする | 時速4.5km=分速75mに直し、75>70で時速4.5kmが速い | 単位が違う速さは、数の大きさだけでは比べられないため |
1・3・4・5行目は、手順3で単位をそろえる確認で見つけやすくなります。2行目は、手順2で「?はどれか」を確かめると、立式の前に見つけやすくなります。
次に学ぶ単元:小6の比へ/前の単元:小5の単位量あたりの大きさへ
編集部の学習順は、単位量あたりの大きさを先に、速さをあとに置く並びです。手が止まる場合は、前の単元の「1あたり」にそろえる見方に戻ると教えやすくなります。
解説の「C 変化と関係」の領域で育成を目指す資質・能力の項(印刷p.65)は、割合でみて比べる場面の例として、速さを挙げています。同じページには、第6学年の比への言及もあります。編集部は、これを手がかりに、速さの次へ小6算数 比のつまずきと教え方を置きました。速さが第5学年、比が第6学年という学年の配置は解説によります。速さのあとに比を置く並びは、解説が指定したものではなく、編集部の判断です。
- 前の単元(学習順):小5算数 単位量あたりの大きさのつまずき
- 次に学ぶ単元:小6算数 比のつまずきと教え方
- 小5算数の全体:小5算数の攻略ガイド
- 教科全体の順番:算数・数学の学び方
【出典】
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説」一覧ページ(【算数編】収録) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387014.htm (2026-10-12 確認)
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編」PDF https://www.mext.go.jp/content/20211102-mxt_kyoiku02-100002607_04.pdf (2026-10-12 確認)
※本文で「解説は〜」と述べた箇所のうち、引用ブロック以外は、上記の解説をもとに教え方の地図 編集部が要約・加工したものです。文部科学省が作成した文章ではありません。
※学習指導要領は改訂されることがあります。本記事の記述は上記告示時点のものです。
まとめ
- 速さは第5学年「C 変化と関係」の内容で、単位量当たりの大きさと同じ項目です。
- 速さは、道のりと時間から表す1あたりの量です。つまずきの整理は編集部の見方で、量の区別・式の向き・単位の3点です。
- 教える順は、役割の札、「1あたり×いくつ分」、単位と式、逆の式での検算の4段階です。
- 3つの式は、?の位置を変えたものです。暗記用の図を使う場合も、1あたりと全部がどれかを言葉で話せるか確かめます。
- 次の単元は、小6の比です。
本記事は家庭学習の参考情報であり、学校・専門機関の指導に代わるものではありません。 学習指導要領・教科書の内容は改訂されることがあります。最新の情報は学校・教育委員会にご確認ください。 → 免責事項
最終確認日:2026-10-12

