算数・数学でつまずいたお子さんを前の学年まで戻して復習させるか、迷う保護者の方へ。戻る範囲は、学年を丸ごとではなく、つまずいた単元の前提がある場所までに絞る進め方を、編集部の整理として示します。
この記事で分かること
- 前の学年への戻り方が行き違いやすい3つの場面
- 戻る先を単元の前提で決める4つの手順と、戻る回数の目安
- 小6・中1・中2の単元を例にした判断と確認問題
本記事が扱うのは、算数・数学でどの単元まで戻るかの決め方で、例は公開済みの小5〜中2の単元です。復習の型の考え方は教科の復習順の決め方 積み上げ型と暗記型が担当です。単元の教え方、定期テスト前の配分、国語・理科・社会の復習は扱いません。
対象:小学校 平成29年告示 学習指導要領(2020年度全面実施)算数編 対象:中学校 平成29年告示 学習指導要領(2021年度全面実施)数学編
結論:前の学年へは、つまずいた単元の前提がある場所まで戻る
前の学年に戻るかどうかは、つまずいた単元の前提がどこにあるかで決めます。前提が同じ学年にあれば学年は戻らず、前の学年にあればその学年の単元へ戻ります。前提を1つ確かめ、そこで止まる場合にもう1つです。2つまでを目安にし、今の授業は止めずに並行します(編集部の整理・目安)。
空振りしやすい進め方は3つです(編集部の整理)。
- 前の学年を最初から全部やり直す。 今の単元へ戻る日が遠のくことがあります。
- 戻る先を決めずに、問題を買い足す。 量だけが増えることがあります。
- 今の授業を止めて、戻りきるまで進めない。 学校の進度と差が開くことがあります。
判断の材料:学年の並びではなく、前提と現行の学年配置で決める
材料は、前提の単元、前提の学年、止まっている場所の3つです。前提は、同じ単元でも止まる場所によって変わります(編集部の整理)。
| 判断の材料 | 見るもの | 確かめる先 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 前提の単元 | 記事が「前提」と書いた単元、解説が前の学習の上に立つと述べる単元 | 公開済みの単元記事の末尾、算数編・数学編の解説 | 「前の単元(学習順)」は本サイトの並びで、前提とは限らない |
| 前提の学年 | 現行の学年配置 | 算数編・数学編の解説 | 以前の配置の記憶で学年を決めない |
| 止まっている場所 | 基本の1問で手が止まる位置 | 家庭での確認(手順3) | 学年名ではなく単元名で書き出す |
戻る先は、「前提」と書いた単元か、解説が前の学習の上に立つと述べる単元から選びます(編集部の整理)。単元記事の末尾には「前提になる単元」と「前の単元(学習順)」があり、後者は本サイトが定めた並びで、前提とは限りません。
学年配置にも注意が必要です。速さは、以前の第6学年から現行の第5学年へ移っています(印刷p.11の「内容の移行」の表)。前提の学年は、現行の解説で確かめます。
小5から中2までの単元の並びは、算数・数学の学び方 学年別につまずきを整理で確かめられます。
パターン別の判断:前提が同じ学年・前の学年・小学校にある場合
前提のある場所で、戻る先は3つに分かれます。
パターン1:前提が同じ学年にある場合(この例では学年は戻らない)
中1の一次方程式は、解説が、文字を用いた式の学習の上に置いています(第1学年 A(3)一元一次方程式、印刷p.72)。前提の文字式も同じ中1なので、戻る先は同じ学年の前提の単元です。文字式でも止まれば、その前提の正負の数へもう1つ戻ります(編集部の整理)。解説は、正負の数で扱う式の見方と四則計算が、方程式の解き方や文字式の計算でも必要だと述べています(印刷p.67)。
これは一次方程式を解く場面で止まる例で、ここまで中1に収まり、前の学年へは戻りません。文章題の立式で止まる場合は、前提が別になります(編集部の整理)。その単元は、中1数学 一次方程式の文章題が立式できない理由が担当です。
パターン2:前提が前の学年にある場合(その学年の単元へ戻る)
中2の連立方程式は、解説が、第1学年の一元一次方程式の学習の上に立つと説明しています(第2学年 A(2)連立二元一次方程式、印刷p.106)。戻る先は、中1の一元一次方程式です(編集部の整理)。
解説は、連立方程式を解くとき、既知の一元一次方程式に帰着させる点に触れています。第1学年で学んだ一元一次方程式を学び直す機会を設ける配慮も述べています(印刷p.107)。この記述は学校の指導上の配慮で、家庭で戻る先を定めたものではありません。編集部は、これを戻る先の候補と読みます(編集部の読み)。連立方程式の文章題の単元は、中2数学 連立方程式の文章題が立式できない理由が担当です。
小学校にも同じ型の例があります。小6算数 分数のわり算のつまずき 教え方は、÷を使う場面で止まるときの前提に、小5の単位量あたりの大きさを示しています。理由が言えないなど別の場所で止まる場合は、同じ小6の単元内で確かめます(編集部の整理)。
パターン3:前提が小学校にある場合(校種をまたぐ)
中学校の単元でも、前提が小学校にある場合があります。中1の正負の数の記事は、分数を含む計算で符号を直しても答えが合わないとき、絶対値の部分の小学校の分数の計算を確かめるよう整理しています。この場合は、小学校の単元へ1つ戻ります(編集部の整理)。

算数・数学で戻る先を決める4つの手順
回数と問題数は、編集部の目安です。

- つまずいている単元を、単元名で書き出す。 「算数が苦手」ではなく「分数のわり算」のように書きます。範囲が絞れると、前提を探しやすいためです。
- その単元の前提を1つ決め、学年を確かめる。 記事の「前提」と解説の学年配置から、前提の単元と学年を決めます。並びの前の単元と取り違えないためです。
- 前提の基本の1〜2問で、手が止まるかを見る。 解ける、または理由を口頭で説明できれば、戻るのはそこまでです。止まる場合は、さらに前提へもう1つ戻ります。
- 戻る回数を単元の数で数え、2つまでを目安にする。 同じ学年の中で2つ戻る場合もあるため、学年でなく単元で数えます。3つ目に及ぶ場合は、止まった場所を書き出して学校の先生に尋ねます。授業での様子と合わせて見るためです。
今の授業は止めず、前提の確認は短い別の時間に行います。確認できたら元の単元へ戻ります(編集部の整理)。
確認問題(編集部作成)
想定ケース2問で、手順1〜4を確かめます。お子さんの状況は編集部の想定で、実在の家庭・学校ではありません。
【確認問題】(編集部作成)
問1 中1のお子さんが、方程式 7−(x−2)=3 で手が止まっています。手順2の前提の文字式「9−(a−4) を整理」には、「9−a−4」と書きました。もう1つ戻った正負の数「(−6)−(−9)」は「3」と答え、理由も言えました。(1) 確かめた単元はいくつで、戻りを終えるのはどの単元ですか。(2) 小学校まで戻りますか。
問2 小6のお子さんが、分数のわり算の文章題で、何をわるのか決められません。手順2の前提の小5の単位量あたりの大きさ「6mで15gのひもの、1mあたりの重さ」には「6÷15」と答えました。もう1つ戻った小5の小数のわり算「7.2÷0.6」には「1.2」と答えました。(1) 確かめた単元はいくつですか。(2) 3つ目へ進みますか。
【解答】
問1 (1) 2つ(文字式・正負の数)。正負の数が解けたため、そこで戻りを終える。(2) 戻らない。9−(a−4)=13−a、(−6)−(−9)=3。
問2 (1) 2つ(単位量あたりの大きさ・小数のわり算)。(2) 進まない。止まった場所を書き出して学校の先生に尋ね、授業は続ける。15÷6=2.5(g)、7.2÷0.6=12。
【解説】
問1は、手順1の単元が一次方程式、手順2の前提が文字式です。手順3で、かっこの前の「−」の扱いが原因で文字式の1問が止まるため、もう1つ戻って正負の数を確かめます。正負の数は解けて理由も言えたため、そこで戻りを終え、原因は文字式と読めます。手順4では、確かめた2つが同じ中1で、前の学年へは戻りません。
問2は、手順1の単元が分数のわり算、手順2の前提が小5の単位量あたりの大きさです。手順3でわる数とわられる数を取り違えて止まるため、もう1つ戻ります。解説は、単位量当たりの大きさを理解するときの支えとして、小数の乗法・除法の学習を位置づけています(印刷p.32)。編集部は、この記述を2つ目の戻る先を選ぶ参考にします(編集部の読み)。こちらも止まり、戻る回数が2つに達しました。3つ目へ進むと小6へ戻る日が遠くなることがあるため、学校の先生に尋ねます。
※本問は編集部が作成したオリジナル問題です。学校のテスト・教科書・市販ドリルからの転載ではありません。
この判断が向かない場合
次の場合は、本記事の手順が向きません。
- 前提が小4以前や中3の単元にある場合。 例は小5〜中2に限ります。解説の学年配置で確かめ、学校に尋ねてください。
- 定期テストの日が近い場合。 戻る復習は時間配分の一部で、配分は扱いません。
- 学習全体の様子が気がかりな場合。 この手順では判断できません。学校の先生に尋ねてください。
【出典】
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編」 https://www.mext.go.jp/content/20211102-mxt_kyoiku02-100002607_04.pdf (2026-10-03 確認)
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」 https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387018_004.pdf (2026-10-03 確認)
※本文で「解説は〜」と述べた箇所のうち、上記の解説をもとに教え方の地図 編集部が要約・加工したものです。文部科学省が作成した文章ではありません。「前提」「2つまで」は編集部の整理と目安です。
※学習指導要領は改訂されることがあります。本記事の記述は上記告示時点のものです。
まとめ
- 戻る先は、学年の数ではなく、つまずいた単元の前提がある場所で決めます。
- 前提は、記事が「前提」と書いた単元か、解説が前の学習の上に立つと述べる単元から選びます。
- 前提で止まる場合だけ、もう1つ戻ります。単元の数で2つまでが目安で、授業は止めずに並行します。
- 2つ戻っても止まる場合は、学校の先生に尋ねます。
本記事は家庭学習の参考情報であり、学校・専門機関の指導に代わるものではありません。 学習指導要領・教科書の内容は改訂されることがあります。最新の情報は学校・教育委員会にご確認ください。 → 免責事項
最終確認日:2026-10-03
