中2数学 図形の証明で手が止まる理由と教え方|教え方の地図

中2数学の図形の証明の教え方を解説する記事のアイキャッチ 単元別のつまずき解説

図形の証明で手が止まる場合は、問題文の「仮定」と「結論」を分けられていないか、どの合同条件を確かめるのかを決められていない可能性があります。仮定を図に書き込み、結論から逆向きに考えてから書き出す順で教えると、最初の一行を決めやすくなります。

この記事で分かること

  • 図形の証明で手が止まる3つの背景(仮定と結論・合同条件・根拠)
  • 仮定を図に書き込んでから書き出す、5つの手順
  • 家庭での聞き方の例と、編集部作成の確認問題2問

本記事が扱うのは、三角形の合同を使う証明の書き方です。平行線の性質は証明の根拠の1つですが、同位角・錯角の性質と角度の求め方は中2数学 平行線と角のつまずき 同位角・錯角で扱っています。平行四辺形の性質の証明、反例と逆、中3の相似の証明は扱いません。直角三角形の合同条件も、本記事の範囲外です。中2数学の全体像は中2数学の攻略ガイドに、小5から中2までの学習の順番は算数・数学の学び方で確かめられます。

対象:中学校 平成29年告示 学習指導要領(2021年度全面実施)数学編・中2

中2数学の図形の証明では何を学ぶか

解説の第2学年では、図形の証明は「B 図形」の「(2) 図形の合同」の項目にあります(学習指導要領(中学校 平成29年告示)解説 数学編、印刷p.110)。知識及び技能の項目は2つで、合同の意味と三角形の合同条件の理解、そして「証明の必要性と意味及びその方法」の理解です。

解説が証明の根拠として挙げるのは、対頂角、平行線、合同な図形に関する性質と、三角形の合同条件などです(印刷p.113)。こうした根拠にもとづいて図形の性質を筋道立てて考える学習は、中学校では第2学年から本格的に始まる、と解説は述べています(印刷p.112)。

三角形の合同条件のうち、一般の三角形に使うものは、3辺、2辺とその間の角、1辺とその両端の角の3つです。解説は、この合同条件を、平行線の性質と同様に、証明で導くのではなく直観的、実験的に認める扱いにしています(印刷p.111)。本記事の証明では、合同条件を根拠として使います。

図形の証明で手が止まる3つの背景:仮定・合同条件・根拠

つまずく箇所は3点に分けられます(区分は編集部のものです)。

  1. 仮定と結論が、問題文のどこにあるか分けられない。 条件と証明する内容が1文に混ざると、境目が見えにくくなります。「中点」「正方形」「二等辺三角形」のように、言葉の中に条件がしまわれている場合もあります。
  2. どの合同条件を確かめるのか、決められない。 等しい辺や角を見つけても、「その間の角」なのか「その両端の角」なのかを、位置で確かめていません。
  3. 等しい理由を、行ごとに根拠として書けない。 図で等しく見えることと、仮定や性質から等しいと言えることは別です。頭の中で分かっていても、理由を添える習慣がないと、答案が結論の並びで終わりやすくなります。

1点目に関わる解説の記述を引きます。

命題は「仮定」と「結論」からなる。そこで,数学的な推論を行う前に命題の「仮定」と「結論」をはっきりさせる。

(文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」第2学年 B(2)図形の合同 証明の必要性と意味及びその方法(アの(イ)) 印刷p.113)

引用が述べているのは、書き始める前に仮定と結論を分けておく、という作業です。本記事では、これを手順1に置いています。

戻り先の目安です(編集部作成。診断ではありません)。

お子さんの様子背景にありそうな点先に戻る手順
問題文を読んでも、図に何も書き込まない1(仮定と結論の切り分け)手順1・2
等しい辺や角は見つけるが、合同と言える理由を答えられない2(合同条件の選び方)手順3・4
等式は並べるが、各行の理由が書けない3(根拠の添え方)手順5

なお、角の等しさの説明に三角形の内角の和を使う証明もあります(編集部の補足)。内角の和そのものが曖昧な場合は、先に小5算数 図形の角度がわからない理由と教え方で確かめます。

図形の証明の教え方:仮定を図に書き込み、結論から逆向きに考える5つの手順

5段の並びは編集部が組んだ案であり、解説が示した順ではありません。解説は、方針を立てる活動がいつも決まった順に進むわけではないと述べています(印刷p.113)。行き来しながら進めて構いません。

図形の証明を書く5つの手順を示した図
  1. 問題文を「仮定」と「結論」に分け、別々に書き出させる。 「〜であることを証明しなさい」の〜が結論で、それ以外の条件が仮定です。この切り分けを飛ばすと、結論を最初から使う誤りが起きやすくなります。
  2. 仮定を図に書き込ませる。 等しい辺には同じ印、等しい角には同じ弧を付けます。言葉に隠れた条件(中点・正方形・二等辺三角形)や、位置から読める条件(共通の角・対頂角)も、同じ形で印にする点が要です。印を付け終えると、使える条件の数を数えられます。
  3. 結論から逆向きに考え、合同を示す2つの三角形を決めさせる。 結論の辺や角を、それぞれ含む三角形が2つ見つかるかを探します。この探し方は編集部の手順です。結論から逆向きに考える方法そのものは、解説が方針の立て方の例に挙げています(印刷p.113)。
  4. 印の並びが、合同条件のどれにあたるかを確かめさせる。 印が3組そろい、その位置が3つの合同条件のどれかに合えば、合同と言えます。足りない1組は、共通の辺や角、対頂角、平行線や二等辺三角形などの図形の性質から探します。
  5. 仮定から結論の順に、根拠を添えて書き出させる。 書く順は「どの2つの三角形か、等しい3組、合同、対応する辺や角が等しい」です。各行の末尾に「仮定より」「共通」のように理由を添えます。

手順4の目安を、図に見える手がかりから整理しました(編集部作成。図によっては当てはまりません)。

図に見える手がかり狙う合同条件本記事の例
3組の辺が等しく、そのうち1つは共通の辺3辺本記事の問題には出てきません
共通の角・対頂角・直角・二等辺三角形の底角のどれかが、等しい2辺の間にある2辺とその間の角例の正方形・問1
等しい角が2組あり、その間の辺も等しい1辺とその両端の角問2

手順の流れを、編集部作成の例で確かめます。正方形ABCDの辺CD上に点E、辺DA上に点Fを、CE=DFとなるようにとります。BE=CFであることを証明する問題です。

  • 手順1・2:仮定は「ABCDが正方形」と「CE=DF」、結論は「BE=CF」です。正方形なので BC=CD で、∠BCE と∠CDF は直角になります。E は CD 上、F は DA 上にあるため、∠BCE は∠BCD、∠CDF は∠CDA と同じ角です。
  • 手順3:BE は△BCE の辺、CF は△CDF の辺です。この2つの三角形が合同なら、BE=CF と言えます。
  • 手順4:BC=CD、∠BCE=∠CDF、CE=DF の3組があります。∠BCE は辺BCとCEの間、∠CDF は辺CDとDFの間の角なので、2辺とその間の角にあたります。
  • 手順5:下の表の順に書きます。
行書く内容添える根拠
1△BCEと△CDFにおいて合同を示す2つの三角形を先に宣言
2CE=DF仮定
3BC=CD正方形の4辺は等しい
4∠BCE=∠CDF=90°正方形の4つの角は直角
5△BCE≡△CDF2辺とその間の角がそれぞれ等しい
6BE=CF合同な図形では対応する辺が等しい

家庭での聞き方:答えを言わずに状況を確かめる4つの場面

家庭で使えるのは、答えを教える問いではなく、手順1〜5のどこで止まっているかを確かめる問いです。保護者が証明の中身に詳しくない場合は、次の表の聞き方の例から選ぶ方法があります(聞き方は編集部の案です)。

止まっている場面聞き方の例避けたい聞き方
最初の一行が書けない「証明する内容は、どの辺や角が等しいことですか」「問題文の条件を、図にいくつ移せましたか」「合同を使うのではないですか」と答えの方向を先に言う
合同条件が決まらない「等しい印が付いたのは、辺と角で何組ずつですか」「その角は、2つの辺の間にありますか」「合同条件を覚えていないのですか」と暗記を責める
各行の理由が書けない「この行が等しいと言えるのは、仮定、共通、性質のどれですか」「見れば分かる」と図の見た目で済ませる
書き終えた「結論は仮定から順に出ていますか。結論を先に使った行はありませんか」模範解答と同じ形に書き直させるだけで終える

表の4つ目の問いは、書式の直しではなく、仮定から結論への流れを確かめるために使います(編集部の考え)。

確認問題(編集部作成)

手順1〜5を、編集部作成の2問で試します。問1は二等辺三角形の底角、問2は中点と平行線を使う問題です。図を載せていないので、まずお子さんに図を描いてもらってください。

【確認問題】(編集部作成)

問1 △ABCは AB=AC の二等辺三角形です。辺BC上に、B、D、E、C の順に点D、Eをとり、BD=CE とします。AD=AE であることを証明するとき、次の(1)(2)に答えてください。(1) 仮定と結論を書き出す (2) 証明を書く

問2 台形ABCDで、AD∥BC とします。辺CDの中点をM、直線AMと辺BCを延ばした直線との交点をEとします。AD=EC であることを証明してください。合同を示す2つの三角形と、使う合同条件も答えてください。

【解答】

問1 (1) 仮定:AB=AC、BD=CE(D、E は BC 上で、B、D、E、C の順)。結論:AD=AE。(2) 証明の例は次の表のとおりです。

行書く内容添える根拠
1△ABDと△ACEにおいて合同を示す2つの三角形を先に宣言
2AB=AC仮定
3BD=CE仮定
4∠ABD=∠ACE二等辺三角形の底角は等しい。∠ABD は∠ABC、∠ACE は∠ACB と同じ角
5△ABD≡△ACE2辺とその間の角がそれぞれ等しい
6AD=AE合同な図形では対応する辺が等しい

問2 合同を示す2つの三角形は△AMDと△EMC、使う合同条件は1辺とその両端の角です。証明の例は次の表のとおりです。

行書く内容添える根拠
1△AMDと△EMCにおいて合同を示す2つの三角形を先に宣言
2DM=CM仮定。Mは辺CDの中点
3∠AMD=∠EMC対頂角は等しい
4∠ADM=∠ECMAD∥BC で、E は直線BC上の点なので AD∥EC。錯角は等しい
5△AMD≡△EMC1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい
6AD=EC合同な図形では対応する辺が等しい

【解説】

問1は、手順2で、「二等辺三角形」という言葉に隠れた条件を読み取ります。D、E が BC 上にあるため、∠ABD は∠ABC、∠ACE は∠ACB と同じ角で、底角が等しいことから ∠ABD=∠ACE と言えます。仮定の文にない条件なので、ここが要点です。手順3で、結論の AD を含む△ABDと、AE を含む△ACEを選びます。手順4で、∠ABD が辺 AB と BD の間、∠ACE が辺 AC と CE の間の角であることを確かめます。

問2は、手順3で、結論の AD を含む△AMDと、EC を含む△EMCを選びます。手順2では、「Mは辺CDの中点」を DM=CM の印にし、AM と ME が1本の直線上にあることから、∠AMD と∠EMC が対頂角だと読み取ります。AD∥EC なので、∠ADM と∠ECM は錯角です。手順4で、辺DM とその両端の角が、辺CM とその両端の角にそれぞれ等しいと確かめ、1辺とその両端の角で合同と言えます。辺の印は1組だけなので、2辺とその間の角は選べません。

図形の証明には、同じ条件と結論で、文字や条件の与え方だけが違う命題が、教科書や問題集にも載っています。本記事の問題文と解答の表は、編集部が書き起こしました。

※本問は編集部が作成したオリジナル問題です。学校のテスト・教科書・市販ドリルからの転載ではありません。

間違えやすい罠:結論を先に使う誤りと、図の見た目に頼る根拠

想定される誤答を5つ並べました。右列の理由は編集部の推定です。

やりがちな間違い正しい進め方なぜずれるか
例の証明で、最初の行に「BE=CF」を書いて使う結論は最後の行で出す。最初の行は「△BCEと△CDFにおいて」仮定から結論を導く流れを、結論を先に認める形に逆転させるため
問1で、∠ABD=∠ACE の行を、理由なしで書く、または飛ばす「二等辺三角形の底角」と、∠ABD が∠ABC と同じ角である理由を添える仮定の文にない条件は、図の位置や図形の性質から読み取る必要があると気づいていないため
2組の辺と、その間にない角が等しいことを根拠に、合同と書く等しい角が、2つの辺にはさまれているかを確かめる等しい角が1組あれば足りると考え、角の位置を見ていないため
問2で、△AMD≡△ECM のように、頂点を順不同で書く対応する頂点を同じ順に並べて、△AMD≡△EMC順がずれると、AM=EC のように仮定にない辺の組が読み取れてしまうため
図で垂直や平行に見えるので、その事実を根拠にする仮定や性質から言える事柄だけを根拠にする証明に使う図は、描いた1つの図だけを指すものではないと、つかめていないため

1行目は背景1、2・4・5行目は背景3、3行目は背景2にあたります。

次に学ぶ単元:中2の学習マップへ戻る/前の単元:中2の平行線と角へ

本サイトの中2の単元記事は、平行線と角、図形の証明の順に並べています(編集部の並べ方です)。この記事が中2の図形の現時点の終点で、次の単元記事はありません。中3の相似の証明は扱いません。

中2の数学には、図形のほかに確率の単元もあります。図形とは別の領域の単元として、中2数学 確率が苦手な理由と教え方 樹形図で扱っています。

【出典】

  • 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説」一覧ページ(【数学編】収録) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387016.htm (2026-10-11 確認)
  • 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」PDF https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387018_004.pdf (2026-10-11 確認)

※本文で「解説は〜」と述べた箇所のうち、引用ブロック以外は、上記の解説をもとに教え方の地図 編集部が要約・加工したものです。文部科学省が作成した文章ではありません。

※学習指導要領は改訂されることがあります。本記事の記述は上記告示時点のものです。

まとめ

  1. 手が止まる背景は、仮定と結論の切り分け、合同条件の選び方、根拠の添え方の3点です(編集部の整理)。
  2. 教える順は、仮定と結論の切り分け、図への書き込み、結論からの逆向き、合同条件の当てはめ、根拠つきの記述です。
  3. 一般の三角形に使う合同条件は、3辺、2辺とその間の角、1辺とその両端の角の3つで、角は「どの辺の間か」を位置で確かめます。
  4. 家庭では、答えを先に言わず、手順のどこで止まっているかを問いで確かめます。
  5. 本サイトの学習順では、前の単元は平行線と角で、この記事が現時点の終点です。

本記事は家庭学習の参考情報であり、学校・専門機関の指導に代わるものではありません。 学習指導要領・教科書の内容は改訂されることがあります。最新の情報は学校・教育委員会にご確認ください。 → 免責事項

最終確認日:2026-10-11

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