中1数学 正負の数の計算 乗法・除法のつまずき|教え方の地図

中1数学の正負の数の乗法・除法の教え方を解説する記事のアイキャッチ 単元別のつまずき解説

かけ算・わり算の答えの符号が合ったり合わなかったりする場合は、加法の符号の決め方を乗法・除法に持ち込んでいる可能性があります。負の数の個数から符号を先に決め、そのあとで数を計算する順に教えると、手順を立てやすくなります。

この記事で分かること

  • 乗法・除法の符号でつまずく3つの背景(加法との混同・符号と数の同時処理・計算の順序)
  • 負の数の個数で符号を決め、四則が混ざった計算へ進む5つの手順
  • 自作の類題2問(編集部作成)と、符号や順序の誤答が起こる理由

本記事は、正の数と負の数のうち、乗法・除法の符号の決め方と、四則が混ざった計算の進め方に絞って扱います。加法と減法の符号は、中1数学 正負の数のつまずきと符号ミスの理由の担当範囲です。累乗を含む式と、文字を含む式は扱いません。他の学年の単元も含めた全体像は、算数・数学の学び方で見られます。

対象:中学校 平成29年告示 学習指導要領(2021年度全面実施)数学編・中1

正負の数の計算で、乗法・除法はどこで学ぶか

乗法・除法が含まれる項目は、第1学年の「A 数と式」の(1)「正の数と負の数」です。学習指導要領(中学校 平成29年告示)解説 数学編の印刷p.65では、知識及び技能の2つ目が「正の数と負の数の四則計算をすること」です。加法・減法も同じ項目にあります。

次の一文は、加法を基に、その後の減法・乗法・除法も同様の視点で考える、という指導の方向を述べた箇所です。単元の前後関係の根拠ではありません。

このことを基に,その後の減法や乗法,除法についても同様の視点から計算の方法を考察し表現することができるようにする。

(文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」第1学年 A(1)正の数と負の数 正の数と負の数の四則計算(アの(イ),イの(ア),[内容の取扱い](2)) 印刷p.66)

引用の「このこと」は直前の文の加法のまとめを指し、「同様の視点」は符号と絶対値への着目とも読めます。手順2・3で符号の決定と数の計算を分けるのは、編集部の設計です。

解説の印刷p.65〜67を確認した範囲では、負の数どうしの積が正になる理由の導き方は載っていません。

乗法・除法の符号でつまずく3つの背景

手順に入る前の段階で、次の3点のどれかが定まっていない場合があります。解説の分類とは関係のない、編集部の整理です。

  1. 加法の符号の決め方を、乗法・除法にも使っている。 (−3)+(−4) は同符号なので共通の符号が付いて −7、(−3)×(−4) は同符号の積で正になり 12 です。同符号の2数でも、加法では和が符号を引き継ぎ、乗法では積が正になるため、一方の決め方を他方へ持ち込む場合があります。
  2. 符号の決定と、積や商の計算を、1回で済ませようとしている。 (−6)×(−4) は、符号の決定と 6×4 の計算に分かれます。同時に考えると、数は合うのに符号が落ちる誤りが出やすい状態です。3つ以上をかける式では、負の数の個数の数え違いも起こりえます。
  3. 計算の順序とかっこの扱いが、整理できていない。 加減と乗除が混ざった式で、左から順に計算する場合があります。かっこの中が先、乗除は加減より先、という約束を並べておかないと、式ごとに手が止まります。

先に戻る候補を、編集部が表にしました。原因を決めるものではありません。

お子さんの様子背景にありそうな点先に戻る手順
同符号の2数で、答えを負にするか正にするか決められない1(加法との混同)手順1・2
数は合っているのに符号が違う、または符号は合っているのに数が違う2(符号と数の同時処理)手順2・3
加減と乗除が混ざると、どこから計算するか決められない3(計算の順序)手順4

乗法・除法の符号の決め方と、四則が混ざった計算の5つの手順

手順は解説の記述ではなく、編集部の設計です。

正負の数の乗法・除法を教える5つの手順を示した図
  1. かける・わるの式かを確かめさせ、負の数に丸を付けさせる。 乗除の式では、加法の「同符号なら符号を引き継ぐ」決め方を使わない、と先に伝えます。最初に決め方を分けておくと、背景1の取り違えが起きにくくなります。
  2. 丸の個数を数え、答えの符号を先に決めさせる。 0でない数どうしの式では、0個か偶数個なら正、奇数個なら負です。(−2)×(−5)×(−3) は3個なので、計算の前に答えの先頭へ「−」を書かせます。
  3. 符号を外した数どうしで、積または商を求めさせる。 上の例は 2×5×3=30 で、答えは −30 です。(−36)÷(−9) も丸が2個で正、36÷9=4 です。分数が出る式は小学校の計算で進め、分数のわり算は逆数をかける形に直せます。復習には小6算数 分数のわり算のつまずきと教え方が使えます。
  4. 四則が混ざった式は、かける・わるを先に計算させる。 9−4×(−3) は、4×(−3)=−12 を先に求めて 9−(−12)=21 です。(9−4)×(−3) はかっこの中が先で、5×(−3)=−15 です。かける・わるが続く式は左から進め、加減の部分は、ひき算を加法に直す手順で進めます。
  5. 逆の計算で確かめさせる。 かけ算は、答えを一方の数でわると、もう一方に戻ります。(−6)×(−4)=24 なら 24÷(−4)=−6 です。わり算は、答えにわる数をかけると、わられる数に戻ります。(−36)÷(−9)=4 なら 4×(−9)=−36 です。

手順2の補足:負の数の個数と答えの符号

式に出てくる負の数を数えます。わる数が負の数なら、個数に含めます(編集部作成)。

負の数の個数答えの符号例
0個正8×3=24、56÷7=8
1個負8×(−3)=−24、56÷(−7)=−8
2個正(−8)×(−3)=24、(−56)÷(−7)=8
3個負(−2)×(−5)×(−3)=−30

理由を聞かれたときの説明(編集部の整理)

「なぜ負の数どうしの積が正になるのか」と聞かれる場合があります。解説では、小学校で学んだ四則計算の意味を広げて考えるものとして、正負の数の四則計算を位置づけています(印刷p.66)。同じ箇所に、加法と乗法で交換法則・結合法則・分配法則が成り立つ、ともあります。印刷p.65〜67を確認した範囲では、これらを使った導き方は載っていないため、次の2通りは編集部の整理です。どちらも (−4)×(−2)=8 を確かめます。

方法進め方前提にしていること
並びの規則(−4)×3=−12、×2=−8、×1=−4、×0=0 と、かける数が1減るたびに答えが4ずつ増える。並びを続けると ×(−1)=4、×(−2)=8かける数を1ずつ減らしたときの規則が、負の数でも続くこと
分配法則2+(−2)=0 なので (−4)×{2+(−2)}=0。分配すると (−4)×2+(−4)×(−2)=0 で、−8+□=0 から □=8分配法則が負の数でも成り立つこと(解説が述べる範囲)

わり算の符号は、手順5の関係で確かめられます。(−36)÷(−9) の答えを □ とすると □×(−9)=−36 で、負の数をかけて負になるのは □ が正のときです。

確認問題(編集部作成)

類題は2問で、符号だけを答える形と、混ざった式を計算する形です。

【確認問題】(編集部作成)

問1 次の4つの答えが正か負かを、計算する前に答えてください。そのあとで、答えも求めてください。

(1) (−7)×(−2)×(−3) (2) (−5)×4×(−1)×2 (3) (−48)÷(−6)÷(−2) (4) 18÷(−3)×(−2)

問2 次の3つを計算してください。

(1) −8+(−15)÷5 (2) 20÷(−4)×(−3)−7 (3) 6×(−4)−(−28)÷7

【解答】

問1 (1) 負(−42) (2) 正(40) (3) 負(−4) (4) 正(12)

問2 (1) −11 (2) 8 (3) −20

【解説】

問1は手順2・3です。丸の個数は順に3個、2個、3個、2個で、(4) はわる数の −3 も数えます。

問2は手順4で、かける・わるを先に計算します。

  • (1) (−15)÷5=−3 を先に求め、−8+(−3)=−11 です。
  • (2) 20÷(−4)=−5、−5×(−3)=15 と左から進め、15−7=8 です。
  • (3) 6×(−4)=−24 と (−28)÷7=−4 を先に求め、−24−(−4)=−20 です。

※本問は編集部が作成したオリジナル問題です。学校のテスト・教科書・市販ドリルからの転載ではありません。

間違えやすい罠:符号と計算の順序のずれ

つまずきの背景から起こりうる誤答を、編集部が5つ選びました。「なぜずれるか」の列は編集部の推定で、お子さんの考え方とは異なる場合もあります。

やりがちな間違い正しい進め方なぜずれるか
(−6)×(−4) を −24 と答える丸は2個で正。6×4=24加法の「同符号なら符号を引き継ぐ」を、乗法にも使うため(背景1)
問1(1)の符号を正と答える丸は3個で負。答えは −42「負と負で正」を2個の組にした時点で終え、残る1個を数えないため
問1(4)を −12 と答える−3 と −2 の2個に丸を付け、正の 12わる数の −3 を符号に関係しない数と見て、丸を1個と数えるため
問2(1)を −4.6 と答える(−15)÷5=−3 を先に求め、−8+(−3)=−11左から −8+(−15)=−23 を先に求め、5でわるため(背景3)
問2(2)の 20÷(−4)×(−3) の部分を、5/3 と答える左から 20÷(−4)=−5、−5×(−3)=15後ろの ×(−3) を先にまとめて 20÷12 とし、わり算とかけ算を左から進める順序を外すため(背景3)

手順2の符号と照らすと、1〜3行目は気づける場合があります。4・5行目は、かける・わるを先に求める順序と、それらを左から進める順序で確かめます。

次に学ぶ単元:中1の文字式へ/前の単元:加法・減法へ

本サイトの学習順では、正負の数の加法・減法を先に、この乗法・除法をあとに置いています。この並びは解説の記述ではなく、編集部が決めた学習順です。加減の計算で手が止まる場合は、前の単元に戻ると確認しやすくなります。

次の単元は中1の文字式です。文字式の計算や方程式の解き方を学ぶ場面でも、四則計算と、加法・減法を統一的にみる式の見方が必要になる、と解説は述べています(印刷p.67)。前後の並びは、本サイトが決めた学習順です。

【出典】

  • 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説」一覧ページ(【数学編】収録) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387016.htm (2026-10-17 確認)
  • 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」PDF https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387018_004.pdf (2026-10-17 確認)

※本文で「解説は〜」と述べた箇所のうち、引用ブロック以外は、上記の解説をもとに教え方の地図 編集部が要約・加工したものです。文部科学省が作成した文章ではありません。

※学習指導要領は改訂されることがあります。本記事の記述は上記告示時点のものです。

まとめ

  1. 乗法・除法は、中学校第1学年「A 数と式」(1) の四則計算に含まれます。解説の印刷p.66は、加法のまとめを基に、その後の乗法・除法を考察する、という指導の方向を述べています。
  2. 乗法・除法の符号でつまずく背景は、加法との混同、符号と数の同時処理、計算の順序の3点です(編集部の整理)。
  3. 教える順は、式の確認、負の数の個数での符号決定、積・商の計算、かける・わるを先にした混合計算、逆の計算での確認です。
  4. 検算は、手順2で先に決めた符号と答えを照らし合わせることと、逆の計算で行います。
  5. 本サイトの学習順では、前の単元は正負の数の加法・減法、次の単元は中1の文字式です。

本記事は家庭学習の参考情報であり、学校・専門機関の指導に代わるものではありません。 学習指導要領・教科書の内容は改訂されることがあります。最新の情報は学校・教育委員会にご確認ください。 → 免責事項

最終確認日:2026-10-17

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