一次関数で手が止まる場合は、b が何を表す数か、変化の割合が「x が1増えたときの y の増え方」であることを、つかめていない可能性があります。比例の表に b を足した表を並べ、増え方を表から読む順で教えると、式とグラフを結びやすくなります。
この記事で分かること
- 一次関数がわからなくなる3つの背景(b・変化の割合・表と式とグラフの行き来)
- 比例に b を足し、変化の割合を経てグラフへ進む5つの手順
- 自作の3問で手順を確かめる流れと、取り違えやすい誤答5種
本記事が扱うのは、中2の一次関数の式・表・グラフ、変化の割合、傾きと y 軸との交点、二元一次方程式とのつながりです。一次関数の利用(文章題や図形上の動く点)、グラフの細かい作図練習、中3の内容は扱いません。教科全体の中での位置づけは、算数・数学の学び方で確かめられます。
対象:中学校 平成29年告示 学習指導要領(2021年度全面実施)数学編・中2
中2数学の一次関数では何を学ぶか
一次関数は、解説では第2学年「C 関数」の「(1)」に置かれています(学習指導要領(中学校 平成29年告示)解説 数学編、印刷p.117)。知識及び技能について、解説は3つの項目を挙げています。一次関数を理解すること、一次関数として捉えられる事象があると知ること、二元一次方程式を、関数を表す式として見ることです。〔用語・記号〕として解説が挙げているのは「変化の割合 傾き」です。
解説は、一次関数の学習を比例の学習の発展と位置づけています(印刷p.117)。比例の関係を一次関数 y=ax+b の特別な場合に位置づける説明も、解説にあります(印刷p.118)。編集部の補足として、b=0 なら y=ax で、比例の式です。
定期テストの出題や内申点の評価に一次関数がどう関わるかは、学校や都道府県によって違います。内申点の決まり方は内申点はどこで決まるのか 提出物と定期テスト、定期テスト前の時間配分は定期テスト前1週間の教科別勉強法の決め方で扱っています。
一次関数がわからない3つの背景:b の意味と変化の割合
背景を3点に整理しました(編集部の区分)。1点目は b の意味、2点目は変化の割合の指導上の留意、3点目は、二元一次方程式を関数の式として見る項目に関わります。
- b を「足すだけの数」と見て、x=0 のときの y と結べていない。 比例 y=ax に +b が付いただけに見え、グラフが原点を通るとは限らなくなる点が見えません。
- 変化の割合を、公式に数を入れる計算として覚えている。 「y の増加量÷x の増加量」は出せても、「x が1増えたとき y がいくつ増えるか」と読み替えられません。
- 表・式・グラフ・方程式の間を、行き来できない。 表から式、式からグラフ、2x+y=8 のような二元一次方程式から一次関数の式へ、という行き来が途切れます。
1点目について、解説は、b が x=0 のときの y の値だと説明しています。グラフと y 軸の交点の y 座標にあたることも、理解できるようにするとしています(印刷p.119)。編集部の補足として、この y 座標は一般に切片と呼ばれます。
2点目について、解説は、変化の割合の指導上の留意として、次のように述べています。
なお,変化の割合を指導する際には,形式的に変化の割合を計算して求めることに偏らないようにするとともに,変化の割合を事象の考察やその表現に適切に用いることができるようにすることが大切である。
(文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」第2学年 C(1)一次関数 一次関数の表,式,グラフとそれらの相互関係(イの(ア)) 印刷p.119)
解説は、変化の割合を、x の増加量に対する y の増加量の割合と説明しています。一次関数 y=ax+b では、これが常に一定で a に等しいとしています(印刷p.118)。
戻り先の目安です(編集部作成。診断ではありません)。
| お子さんの様子 | 背景にありそうな点 | 先に戻る手順 |
|---|---|---|
| y=2x+3 のグラフを、原点を通る直線として書く | 1(b の意味) | 手順1・4 |
| 2点から y の差と x の差は出せるが、「1増えると」の読みに直せない。比の上下が逆になる | 2(変化の割合) | 手順2・3 |
| 表は読めるが式にできない。2x+y=8 のままで傾きを答えようとする | 3(行き来) | 手順3・5 |
一次関数の教え方:比例に b を足し、変化の割合からグラフへ進める5つの手順
以下の手順は編集部の設計案で、解説が指定した順序ではありません。比例の表から始めて b と変化の割合を1つずつ足すと、止まった場所を切り分けやすいためです。

- 比例の式と、b を足した式の表を並べ、x=0 のときの y を読ませる。 利用1回100円のクラブで、x 回使ったときの料金を y 円とします。登録料300円が別にかかる場合は y=100x+300 です。x=0 で y が0か300かを見比べると、b を「x=0 のときの y」として読めます。
- 表で「x が1増えると y がいくつ増えるか」を矢印で書かせる。 2つの表とも、x が1増えると y は100増えます。違いは b だけだと気付いてから、公式「y の増加量÷x の増加量」を出します。
- 表から変化の割合を求め、x=0 に戻して b を決め、式にさせる。 x=1、2、3、4 のとき y=5、8、11、14 なら、変化の割合は (14−5)÷(4−1)=3 です。x=0 の y は 5−3=2 なので、式は y=3x+2 です。x=3 を入れて y=11 になるかで検算します。
- 式から (0, b) の点をとり、傾き a(変化の割合と同じ値)の分だけ進めてグラフにさせる。 y=2x−1 なら (0, −1) から、x が1増えるたびに y が2増える点 (1, 1)、(2, 3) をとります。解説は、y の増減は傾き a の正負で判断できるとしています(印刷p.119)。
- 二元一次方程式を y= の形に直し、傾きと y 軸との交点を読ませる。 x+y=5 は y=−x+5 で、傾きは −1、y 軸との交点の y 座標は 5 です。y=x+1 のグラフとの交点(2直線の交点)の座標は、連立方程式 x+y=5、y=x+1 の解にあたります。−x+5=x+1 から x=2、y=3 で、交点は (2, 3) です。連立方程式の解の意味が曖昧な場合は、先に中2数学 連立方程式の文章題が立式できない理由に戻ります。
手順1の表(編集部作成)。
| x(回) | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
|---|---|---|---|---|---|
| y=100x(比例) | 0 | 100 | 200 | 300 | 400 |
| y=100x+300(一次関数) | 300 | 400 | 500 | 600 | 700 |
確認問題(編集部作成)
編集部が作った3問で、手順1〜5を確かめます。
【確認問題】(編集部作成)
問1 次の(1)〜(3)の表について、y が x の一次関数かどうか、比例かどうかを答えてください。一次関数なら、y を x の式で表してください。
- (1) x=0, 1, 2, 3 のとき y=−2, 3, 8, 13
- (2) x=0, 2, 4, 6 のとき y=0, 8, 16, 24
- (3) x=0, 1, 2, 3 のとき y=1, 2, 4, 8
問2 一次関数 y=−3x+7 について答えてください。(1) x が2から5まで増えるときの変化の割合 (2) グラフと y 軸が交わる点の座標 (3) x=4 のときの y の値
問3 方程式 2x+y=8 について答えてください。(1) y=ax+b の形に直す (2) 傾きと、y 軸との交点の y 座標 (3) この直線と y=x+5 のグラフの交点の座標を、連立方程式で求める
【解答】
問1 (1) 一次関数で、比例ではない。y=5x−2 (2) 一次関数で、比例。y=4x (3) 一次関数ではない
問2 (1) −3 (2) (0, 7) (3) −5
問3 (1) y=−2x+8 (2) 傾き −2、y 座標 8 (3) (1, 6)
【解説】
問1は、手順1〜3の確認です。
- (1) 変化の割合は5で、x=0 のとき y=−2 なので y=5x−2 です。y が0にならないため、比例ではありません。
- (2) 変化の割合は 8÷2=4 で、x=0 のとき y=0 なので y=4x です。b=0 の場合にあたり、比例です。
- (3) y の増え方は 1、2、4 で一定ではなく、一次関数ではありません。
問2は、手順2・4の確認です。(1) x=2 で y=1、x=5 で y=−8 なので、(−8−1)÷(5−2)=−3 で、a と一致します。(2) x=0 で y=7 なので (0, 7) です。(3) −3×4+7=−5 です。
問3は、手順5の確認です。(1) 2x を移項して y=−2x+8。(2) 傾きは −2、y 軸との交点の y 座標は 8 です。(3) −2x+8=x+5 から 3x=3、x=1、y=6 です。(1, 6) は両方の式に合います。
※本問は編集部が作成したオリジナル問題です。学校のテスト・教科書・市販ドリルからの転載ではありません。
間違えやすい罠:b の落とし方と変化の割合の読み違い
想定される誤答を5つ並べました。右列の理由は編集部の推定です。
| やりがちな間違い | 正しい進め方 | なぜずれるか |
|---|---|---|
| 問1(1)を y=5x と答える | x=0 で y=−2 なので y=5x−2。y=5x では x=0 で y=0 になり、表と合わない | 増え方だけで式をつくり、x=0 の値を読まずに b を落とすため |
| 問2(2)を (7, 0) と答える | x=0 を入れて y=7 なので、(0, 7) | b の値を、座標の x の位置に置いてしまうため |
| 問2(1)を (5−2)÷(−8−1)=−1/3 と答える | y の増加量を x の増加量でわる。(−8−1)÷(5−2)=−3 で、a と一致する | 比の上下を逆にして、「x が1増えたときの y」という読みを使っていないため |
| 問2(1)の −3 を「x が1増えると y は3増える」と読む | −3 は減る向き。x=2 で y=1、x=3 で y=−2 と、3減る | 負の符号を落として、大きさだけを読んでいるため |
| 問3(1)を y=2x+8 と答える | 2x を移項して符号が変わるので、y=−2x+8。x=1 では y=6 で、2+6=8 | 移項で符号を変え忘れ、方程式と一次関数の式が同じ関係だと確かめていないため |
1・2行目は b の意味、3・4行目は変化の割合、5行目は行き来の誤りです。どの誤答も、値を入れ戻すと食い違います。
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単元記事の学習順は、本サイトが定めた並びで、一次関数の前に連立方程式を置いています。この記事が現時点の終点で、次の単元記事はありません。中3は扱いません。
- 前提になる単元:中2数学 連立方程式の文章題が立式できない理由
- 次に確認する内容:算数・数学の学び方
【出典】
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説」一覧ページ(【数学編】収録) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387016.htm (2026-10-03 確認)
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」PDF https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387018_004.pdf (2026-10-03 確認)
※本文で「解説は〜」と述べた箇所のうち、引用ブロック以外は、上記の解説をもとに教え方の地図 編集部が要約・加工したものです。文部科学省が作成した文章ではありません。
※学習指導要領は改訂されることがあります。本記事の記述は上記告示時点のものです。
まとめ
- 背景は、b の意味、変化の割合、表・式・グラフ・方程式の行き来の3点です(編集部の整理)。
- 教える順は、表の比較、増え方、表から式、式からグラフ、方程式の変形です。
- y=ax+b の b は x=0 のときの y、a は変化の割合で、x が1増えたときの y の増え方です。
- 本サイトの学習順では、前の単元は連立方程式で、この記事が現時点の終点です。
本記事は家庭学習の参考情報であり、学校・専門機関の指導に代わるものではありません。 学習指導要領・教科書の内容は改訂されることがあります。最新の情報は学校・教育委員会にご確認ください。 → 免責事項
最終確認日:2026-10-03

