中2数学 確率が苦手な理由と教え方 樹形図|教え方の地図

中2数学の確率の教え方を解説する記事のアイキャッチ 単元別のつまずき解説

中2の確率で答えが合わない場合は、樹形図や表を書いていても、場合の数え方のどこかに数え漏れや重なりが出ている可能性があります。区別するものを先に決め、数えた一つ一つが同様に確からしいかを確かめてから分数にする順で教えると、手順を立てやすくなります。

この記事で分かること

  • 樹形図や表を使っても数え漏れ・重なりが出る3つの背景
  • 「同様に確からしい」の意味と、場合の数を確かめる5つの手順
  • 家庭での聞き方と、編集部作成の類題2問

本記事が扱うのは、場合の数を数え上げて確率を求める方法です。くじ引きが公平かどうかの説明と、中3の標本調査は扱いません。ほかの学年とのつながりは、算数・数学の学び方の学年別の案内から探せます。

対象:中学校 平成29年告示 学習指導要領(2021年度全面実施)数学編・中2

中2数学の確率では何を学ぶか:「同様に確からしい」の意味

解説の第2学年で確率が置かれているのは、「D データの活用」の(2)「不確定な事象の起こりやすさ」です(印刷p.122〜123)。以下の印刷ページは、解説 数学編(中学校 平成29年告示)のものです。知識及び技能の2つは、場合の数を基にして得られる確率の理解と、「簡単な場合」の確率の計算です。

確率を求める前の段階について、解説には次の1文があります。

起こり得る場合の数を基にして確率を求めるには,同様に確からしいと考えられる起こり得る場合全てを正しく求める必要がある。

(文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」第2学年 D(2)不確定な事象の起こりやすさ 簡単な場合について確率を求めること(アの(イ),イの(ア)) 印刷p.124)

「同様に確からしい」は、どの場合も起こりやすさが同じと考えてよい状態を指す言葉です(編集部の説明)。

解説は、道具として樹形図や二次元の表(縦横に並べた表)などを例に挙げています。あわせて、落ちや重なりなく数えることと、同様に確からしいことへの着目を求めています(印刷p.124)。

第1学年の確率との区別です。第1学年では、試行を多数回くり返すと相対度数が近づく一定の値を、確率として学びます(印刷p.92〜93)。第2学年の確率は、第1学年の学習を土台に、場合の数から求める方法を考える内容を含みます(印刷p.123)。どの場合も同様に確からしいとき、場合の数から求めた確率は、試行を多数回重ねて得た確率が近づく先にもなります(印刷p.123)。

中2数学の確率が苦手になる3つの背景

樹形図や表は書き方の道具で、何を区別して数えるかまでは決めてくれません。道具を使っても数え漏れや重なりが出る場合は、次の3点のどれかが定まっていない可能性があります(編集部の整理です)。

  1. 何を区別して数えるかを、書き始める前に決めていない。 並びや役割の違いを区別するのか曖昧だと、違う場合を1つにまとめたり、同じ場合を2回書いたりします。
  2. 枝や表のマスの数が、条件で変わることを確かめていない。 選んだものを戻すか、同じものを選べるかで、枝の数は変わります。表では、同じ人どうしのマスや、順序だけ違う同じ組のマスが混ざります。
  3. 数えた1つ1つが、同様に確からしいかを確かめていない。 「同じ」「ちがう」のような粗い区分で数えると、起こりやすさが揃わず、場合の数の比が確率になりません。

先に戻る候補を、編集部が表にしました。原因を決めるものではありません。

お子さんの様子背景にありそうな点先に戻る手順
樹形図の枝の数が、掛け算で数えた数と合わない1・2(区別の決め方、枝の数の変化)手順1〜3
表のマスを全部数えて分母にしたが、答えが解答と合わない2(同じ人どうし・重なる組のマス)手順2・3
全部の場合を「A か B か」の2通りと数え、2分の1と答える3(同様に確からしいかの確認)手順4

確率の樹形図と表で場合を数え上げる5つの手順

以下の5手順は、編集部が組んだ案です。解説が示した順序ではありません。

確率の場合の数を数える5つの手順を示した図
  1. 区別するものを決め、記号や番号で書き出させる。 誰が、何番目に、どの役割かを先に紙へ書きます。
  2. 樹形図か表で、1段目から順に書き出させる。 1段目を番号順などの決まった順に並べ、枝の先に2段目を書きます。枝の数は、戻すかどうかで変わります。表は縦を1つ目、横を2つ目とし、起こり得ないマスや重なるマスは斜線で消す形です。
  3. 全部の場合の数を、掛け算でも確かめさせる。 書き出した数と掛け算の数が違えば、数え漏れか重なりがあります。2つを同時に選ぶ組では、順序つきの数を2でわります。
  4. 数えた1つ1つが、同様に確からしいかを確かめさせる。 「同じ」「ちがう」のようにまとめた区分は、場合の数が違えば起こりやすさが揃いません。1つ1つを単位に数え直します。
  5. 条件に合う場合を数え、分数にさせる。 確率は、条件に合う場合の数を全部の場合の数でわった分数です。合う場合と合わない場合の合計が、全部の数と一致するかも確かめます。

編集部作成の例で、5手順の動きを見ます。兄と妹が、黄・緑・紫の3色の座布団から、くじで1枚ずつ選ぶ場面です。同じ色も選べ、どの色も同様に確からしいとして、2人が同じ色を選ぶ確率を求めます。

  • 手順1〜3:区別するのは「兄の色」と「妹の色」です。兄の3色それぞれに妹の3色の枝が付くので 3×3=9通りで、表にすると次の9マスになります。同じ色も選べるため、斜線のマスはありません。
兄\妹黄緑紫
黄黄・黄(同じ色)黄・緑黄・紫
緑緑・黄緑・緑(同じ色)緑・紫
紫紫・黄紫・緑紫・紫(同じ色)
  • 手順4:「同じ色」「ちがう色」の2通りでは、3通りと6通りで起こりやすさが揃いません。9通りの1つ1つを単位にします。
  • 手順5:同じ色は3通りで、確率は 3/9=1/3 です。ちがう色は6通りで 6/9=2/3、2つの合計は1です。

家庭での聞き方:答えを言わずに状況を確かめる4つの場面

家庭では、お子さんが手順1〜5のどの段階で止まっているかを、問いで聞き取れます。例は編集部の案です。

止まっている場面聞き方の例避けたい聞き方
1段目の項目が決まらない「いま区別しているのは、何と何ですか」「1段目には何を置きましたか」「樹形図を書けばいいでしょう」と形だけを指示する
枝の数が合わない「2段目の枝は、1段目より増えますか、減りますか」「掛け算で数えた数と一致しますか」「もう一度数えなさい」とだけ言う
分数にしたが答えが合わない「分母は何を数えた数ですか」「その1つ1つは、同じ起こりやすさですか」「約分し忘れでは」と計算の問題にする
答えが出た「条件に合う場合と合わない場合を足すと、全部の数になりますか」解答と同じ形に書き直させるだけで終える

確認問題(編集部作成)

類題は2問で、樹形図の数え漏れを見つける形と、表で重なりを除く形です。場面も数も編集部が作りました。

【確認問題】(編集部作成)

問1 体育館の入場で、1組・2組・3組の旗を一列に並べる順番を、くじで決めます。どの並び方も同様に確からしいとします。ある答案(編集部が作った誤答例)は、並び方を次の4通りと数えていました。

1組→2組→3組 1組→3組→2組 2組→1組→3組 3組→2組→1組

(1) 書き漏れている並び方を、すべて答えてください。(2) 全部の並び方の数と、3組が最後になる確率を答えてください。

問2 委員会の5人から、くじで同時に2人を選んで放送当番にします。5人は、1年生のAさんとBさん、2年生のCさん、3年生のDさんとEさんです。どの組も同様に確からしいとします。縦横にA〜Eを並べた5×5の表を使います。同じ人どうしのマスと、ABとBAのように順序だけが違う組の片方のマスには、斜線を引いて数えません。

(1) 斜線を引くマスは何マスですか。(2) 選ばれる2人の組は全部で何通りですか。(3) 2人が同じ学年になる確率を答えてください。

【解答】

問1 (1) 2組→3組→1組、3組→1組→2組 (2) 全部で6通り、確率は 1/3

問2 (1) 15マス (2) 10通り (3) 1/5

【解説】

問1は手順1〜3と手順5です。3×2×1=6通りと答案の4通りは数が違うため、漏れがあると分かります。

  • (1) 答案に無いのは、2組が先頭で3組が2番目の並びと、3組が先頭で1組が2番目の並びです。
  • (2) 3組が最後になるのは、1組→2組→3組と2組→1組→3組の2通りで、2/6=1/3 です。答案のまま数えると 2/4=1/2 となり、分母が変わって答えがずれます。

問2は手順2〜5です。

  • (1) 同じ人どうしの5マスと、順序違いで重なる10マス(対角線の片側)で、15マスです。
  • (2) 残る10マスが組の数で、5×4÷2 の計算とも一致します。
  • (3) 同じ学年の組はABとDEの2通りで、2/10=1/5 です。

※本問は編集部が作成したオリジナル問題です。学校のテスト・教科書・市販ドリルからの転載ではありません。

間違えやすい罠:数え漏れ・重なり・まとめ方の粗さ

誤答の例を4行にまとめました。右端の列は編集部の推定で、実際のお子さんの考え方と一致するとは限りません。

やりがちな間違い正しい進め方なぜずれるか
問1(2)を、4通りのまま 2/4=1/2 と答える6通りを書き出し、2/6=1/3樹形図で2通りを書き漏らし、分母が小さくなるため(背景1・2)
問2(3)を、25マスを分母にして 9/25 と答える重なるマスを除いた10通りで、2/10=1/5表の25マスを全部数え、同じ人どうしや順序違いの組も入れるため(背景2)
座布団の例を、「同じ色」「ちがう色」の2通りで 1/2 と答える9通りを単位に、3/9=1/3区分ごとの場合の数が違い、同様に確からしくないため(背景3)
確率 1/5 を、「5回試せば必ず1回は起こる」と読む確率は起こりやすさの程度を表す値で、回数ごとの結果を決めるものではない分数を回数の予言として受け取るため。解説にも同趣旨の注意がある(印刷p.123〜124)

1〜3行目は手順3・4の照合で気づける場合があり、4行目は値の読み方の取り違えです。

学習順の位置づけ:中2数学の学習マップへ戻る

本サイトの学習順では、中2の単元どうしの前後に確率を置いていません(編集部の整理で、解説の記述に基づく並びではありません)。第1学年とのつながりは、最初の見出しのとおりです。確率は「D データの活用」の領域で、中2数学 図形の証明で手が止まる理由と教え方が扱う「B 図形」とは別の領域です。

【出典】

  • 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説」一覧ページ(【数学編】収録) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387016.htm (2026-10-18 確認)
  • 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」PDF https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387018_004.pdf (2026-10-18 確認)

※本文で「解説は〜」と述べた箇所のうち、引用ブロック以外は、上記の解説をもとに教え方の地図 編集部が要約・加工したものです。文部科学省が作成した文章ではありません。

※学習指導要領は改訂されることがあります。本記事の記述は上記告示時点のものです。

まとめ

  1. 中2の確率は第2学年「D データの活用」(2)にあり、同様に確からしい場合を落ちや重なりなく数えて求めます。
  2. 数え漏れ・重なりの背景は、区別の決め方、枝や表のマスの数の変化、同様に確からしいかの確認の3点です(編集部の整理)。
  3. 教える順は、区別、書き出し、掛け算での照合、同様に確からしいかの確認、分数化の5つです。
  4. 第1学年の確率は多数回の試行で近づく値、第2学年は場合の数から求める確率です。
  5. 本サイトの学習順では、中2の単元どうしの前後に確率を置いていません。

本記事は家庭学習の参考情報であり、学校・専門機関の指導に代わるものではありません。 学習指導要領・教科書の内容は改訂されることがあります。最新の情報は学校・教育委員会にご確認ください。 → 免責事項

最終確認日:2026-10-18

タイトルとURLをコピーしました