中1数学 空間図形の表面積が求められない理由|教え方の地図

中1数学の空間図形の表面積を解説する記事のアイキャッチ 単元別のつまずき解説

角柱や円柱の表面積で式が立たない場合は、展開図を描かずに、頭の中の立体だけで式を作ろうとしていることがあります。展開図に部品を描き出し、1つずつ面積を求めて足す順で教えると、整理しやすくなります。

この記事で分かること

  • 表面積が求められなくなる3つの背景(側面の横の長さ・底面の数・体積の式との混同)
  • 展開図から部品ごとに面積を求めて合計する5つの手順
  • 編集部が用意した類題3問と、問題の数値に沿った誤答の例5つ

本記事が扱うのは、中1の角柱・円柱の表面積です。円錐・角錐・球の表面積と、錐体・球の体積の公式は扱いません。扇形の計算と投影図も対象外です。学年をまたいだ算数・数学の流れを先に見たい場合は、算数・数学の学び方が入口になります。

対象:中学校 平成29年告示 学習指導要領(2021年度全面実施)数学編・中1(小学校 平成29年告示 算数編も参照)

中1数学の空間図形では何を学ぶか:表面積と体積の位置づけ

学習指導要領(中学校 平成29年告示)の解説 数学編(以下「解説」)では、空間図形は第1学年の「B 図形」にある「(2) 空間図形」として扱われています。解説に示された本文は、基本的な柱体や錐体、球の表面積と体積に加え、扇形の弧の長さと面積を求めることを、知識及び技能の2つ目に挙げています(印刷p.78)。

解説は、小学校では立方体・直方体・角柱・円柱を第5学年までに扱ってきたと述べています。あわせて、見取図や展開図をかくことなどで理解を深めてきたことも挙げています(印刷p.78)。「表面積」の語は、小学校の解説の各学年の内容には見当たりませんでした。編集部が算数編のPDF本文を「表面積」「側面積」の語で検索した結果です(付録に載る中学校の内容を除く)。

学年立体に関わる内容(小学校・中学校の解説の記述から編集部が整理)
小5(小学校 算数編 印刷p.54)柱体の見取図と展開図
小6(小学校 算数編 B(4) 印刷p.299)角柱・円柱の体積(底面積×高さ)
中1(中学校 数学編 印刷p.78・81〜82)基本的な柱体や錐体、球の表面積と体積(柱体の体積は、小6の求め方の理解を深められる)

解説は、柱体や錐体の表面積を、立体を実際に平面へ展開しながら求める活動などを通して指導するとしています。展開図が役に立つことも感じ取らせる、とも述べています(印刷p.82)。あわせて、底面が三角形や円など面積を求められる図形である柱体や錐体を扱うとしています。

空間図形の表面積が求められない3つの背景:側面の横・底面の数・体積の式

背景を3点に整理しました。区分は編集部のものです。

  1. 側面の展開図が、底面の周を横とする長方形になると思い浮かばない。 円柱の側面は曲面で、そのままでは面積の求め方が見えません。角柱でも、横の長さを底面の1辺だけと見ると、必要な長さに足りません。
  2. 底面が2つあることを落とす。 斜めから描いた見取図では、下の底面が見えにくくなります。式だけを覚えている場合は、上の底面と側面で数え終えてしまいやすくなります。
  3. 体積の式と表面積の式が混ざる。 小6で学んだ「底面積×高さ」が頭に残っていると、この式を表面積にも使う場合があります。体積は中身の大きさで単位は cm³、表面積は外側の面の広さで単位は cm² です。

1点目について、解説は、展開図を使う場面の例として、円柱や円錐の側面積を求めるときを次のように挙げています。

あるいは,円柱や円錐の側面積を求めようとするときには,曲面の面積をどのように捉えるかが問題になるが,これを展開図に表せば,長方形や扇形の面積として捉え直すことができる。

(文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」第1学年 B(2)空間図形 空間図形を平面上に表現し,性質を見いだすこと(イの(ア),[内容の取扱い](6)) 印刷p.81)

引用の文は円錐にも触れていますが、本記事が扱うのは、側面が長方形になる円柱までです。円柱の展開図は、円2つと長方形1つで、長方形の縦は高さ、横は底面の円周と等しくなります。

手が止まる場所ごとに、先に戻る手順を表にまとめました(編集部作成)。

お子さんの様子背景にありそうな点先に戻る手順
円柱の側面積を「半径×高さ」で求めようとする1(側面の横の長さ)手順3
底面積を1回しか足していない2(底面は2つ)手順2
「底面積×高さ」を答えにして、単位を cm³ と書く3(体積の式との混同)手順4・5

表面積の求め方を教える5つの手順:展開図を描き、部品ごとに面積を出す

展開図を描き、部品ごとに面積を求め、最後に足す流れに固定します。公式を先に覚えさせる順ではありません。この5段の順序と、手順3の缶を使った確かめ方は編集部の設計・提案で、解説が定めたものではありません。

表面積を求める5つの手順を示した図
  1. 立体の底面と側面を、指でさして確認させる。 家に円柱の缶や箱があれば、手に持たせて「上と下が底面、まわりが側面」と言わせます。解説は、図形を考察するときに、観察や操作、実験などの活動を学習の基本に置くとしています(印刷p.79)。この手順は、見取図で見えにくい下の底面を、先に実物で確かめる順にしました。
  2. 展開図を描かせる。 底面を2つ、側面を1つ、紙に並べて描かせます。円柱なら、円が2つと長方形が1つです。部品を絵にして数えると、底面の数え落としに気づきやすくなります。
  3. 側面の縦と横の長さを書き込ませる。 縦は立体の高さ、横は底面のまわり一周の長さです。角柱では底面の辺の長さの合計、円柱では底面の円周で、半径が r なら 2πr です。円柱の缶の側面に紙を一周ぴったり巻き、重なった位置に印をつけます。紙をはずして広げ、印までの長さを測ると、横の長さが底面のまわり一周になることを実物で確かめられます。
  4. 部品ごとに面積を求め、表に書かせる。 「底面積の2つ分」と「側面積」を別の行にします。底面積は、三角形や円など小学校で学んだ公式で求めます。側面積は縦と横の積です。行を分けておくと、足し忘れを行の数で見つけやすくなります。
  5. 合計して、単位と π を確認させる。 表面積は部品の面積の和なので、単位は cm² です。円を含む場合は、π を文字のまま残して係数どうしを足します。展開図を見返し、底面が2つか、体積の式でないかを確かめます。

手順4・5の書き方を、編集部作成の例で示します。底面が縦3cm・横5cmで高さ4cmの四角柱と、底面の半径が2cmで高さ5cmの円柱です。

立体部品式面積
四角柱底面(2つ分)3×5×230 cm²
四角柱側面(横は 3+5+3+5)16×464 cm²
四角柱合計30+6494 cm²
円柱底面(2つ分)π×2×2×28π cm²
円柱側面(横は 2π×2)4π×520π cm²
円柱合計8π+20π28π cm²

確認問題(編集部作成)

類題を3問置きます。

【確認問題】(編集部作成)

問1 底面が、直角をはさむ2辺が6cmと8cm、斜めの辺が10cmの直角三角形で、高さが9cmの三角柱があります。表面積を求めてください。

問2 底面の半径が4cm、高さが7cmの円柱の形をした菓子缶があります。ふたと底を含めた外側全体に包装紙を貼るとき、必要な包装紙の面積を求めてください。重なる部分は考えません。

問3 底面の半径が6cmの円柱があり、表面積は 192π cm² です。この円柱の高さを求めてください。

【解答】

問1 264 cm²

問2 88π cm²

問3 10 cm

【解説】

問1は、手順2〜5の確認です。

  • 手順2・3:展開図は直角三角形2つと長方形1つで、長方形の横は 6+8+10=24 cm、縦は 9 cm です。
  • 手順4:底面積は 6×8÷2=24 cm² で、2つ分は 48 cm² です。側面積は 24×9=216 cm² です。
  • 手順5:48+216=264 cm² です。

問2は、手順3〜5の確認です。

  • 手順3:側面の横は 2π×4=8π cm、縦は 7 cm です。
  • 手順4:側面積は 8π×7=56π cm² で、底面積は π×4×4=16π cm²、2つ分は 32π cm² と求まります。
  • 手順5:32π+56π=88π cm² が合計です。

問3は、手順3・4を逆向きに使います。

  • 底面積は π×6×6=36π cm²、2つ分は 72π cm² と求まります。
  • 側面積は 192π−72π=120π cm² で、側面の横は 2π×6=12π cm です。
  • 縦にあたる高さは、120π÷12π=10 cm と分かります。

※本問は編集部が作成したオリジナル問題です。学校のテスト・教科書・市販ドリルからの転載ではありません。

間違えやすい罠:側面の横の長さと底面の数

問1〜3の数値に沿って、誤答を5つ編集部が想定しました。右列の理由は編集部の推定で、展開図に長さと面積を書き込んで見直すと、どの行も誤りの箇所を見つけやすくなります。

やりがちな間違い正しい進め方なぜずれるか
問1で側面の横を底面の1辺の10cmだけにして、10×9=90、合計138 cm² とする横は底面のまわり一周の 6+8+10=24 cm。24×9=216 で、合計264 cm²展開図に長さを書き込まず、頭の中の見取図で長さを決めるため
問2で底面を1つだけ足し、16π+56π=72π cm² とする展開図の円を2つ数え、32π+56π=88π cm²見取図では下の底面が見えにくいため
問2で側面の横を直径の8cmとし、8×7=56、合計 32π+56 cm² とする横は円周の 2π×4=8π cm で、8π×7=56π cm²直径と円周が混ざり、π が落ちるため
問2で底面積×高さの 16π×7=112π を答えにする表面積は部品の面積の和で 88π cm²。底面積×高さは体積の式で、単位は cm³小6で学んだ体積の式が先に出るため
問3で 192π÷12π=16 cm とする先に底面2つ分の 72π を引き、120π÷12π=10 cm側面積だけで表面積が決まると考え、底面の分を引き忘れるため

次に学ぶ単元:中2の連立方程式へ/前の単元:中1の比例と反比例へ

単元記事の学習順は、本サイトが定めた並びです。比例と反比例のあとに空間図形の表面積、その次に中2の連立方程式を置いています。

編集部の整理では、この単元は、小学校で学ぶ三角形・四角形・円の面積と、円周の長さを前提にしています。手が止まる場合は、展開図の部品に進む前に、面積の公式から確認してください。

錐体や球の体積について、解説は、柱体の体積との関係を予想させるとしています。その予想が正しいかどうかは、模型の利用や実験での測定などで確かめ、実感を伴って理解できるようにするとされています(印刷p.82)。柱体の体積と表面積を区別しておく(背景3)ことは、その学習でも使えると編集部は考えています。

【出典】

  • 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説」一覧ページ(【数学編】収録) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387016.htm (2026-10-03 確認)
  • 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」PDF https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387018_004.pdf (2026-10-03 確認)
  • 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説」一覧ページ(【算数編】収録) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387014.htm (2026-10-03 確認)
  • 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編」PDF https://www.mext.go.jp/content/20211102-mxt_kyoiku02-100002607_04.pdf (2026-10-03 確認)

※本文で「解説は〜」と述べた箇所のうち、引用ブロック以外は、上記の解説をもとに教え方の地図 編集部が要約・加工したものです。文部科学省が作成した文章ではありません。

※学習指導要領は改訂されることがあります。本記事の記述は上記告示時点のものです。

まとめ

  1. 背景は、側面の横の長さ、底面の数、体積の式との混同の3点です(編集部の整理)。
  2. 教える順は、実物で確認、展開図、縦と横の長さ、部品ごとの面積、合計と単位の5段階です。
  3. 展開図の側面は、縦が高さ、横が底面のまわり一周の長さの長方形です。

本記事は家庭学習の参考情報であり、学校・専門機関の指導に代わるものではありません。 学習指導要領・教科書の内容は改訂されることがあります。最新の情報は学校・教育委員会にご確認ください。 → 免責事項

最終確認日:2026-10-03

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