比例と反比例の区別がつかず、式やグラフで手が止まる場合は、「比例は増える、反比例は減る」という覚え方が土台になっていることがあります。表に対応する値の組を並べ、商と積を確かめてから式とグラフへ進める順で教えると、整理しやすくなります。
この記事で分かること
- 比例と反比例の違いがわからなくなる3つの背景(増減の覚え方・商と積・表式グラフの往復)
- 表、式、グラフの順に、対応する値の組を確かめる5つの手順
- 編集部が作った確認問題3問と、取り違えやすい誤答5つ
本記事が扱うのは、中1の比例と反比例(表・式・グラフ、比例定数、負の数への拡張、座標)です。小学校の比例の復習、中2の一次関数、中1の空間図形は扱いません。算数・数学を学年ごとにたどる地図は、算数・数学の学び方にまとめています。
対象:中学校 平成29年告示 学習指導要領(2021年度全面実施)数学編・中1
中1数学の比例と反比例では何を学ぶか
比例と反比例は、学習指導要領(中学校 平成29年告示)解説 数学編の第1学年「C 関数」に、「(1) 比例,反比例」として置かれています。ここで身に付ける知識及び技能として、解説は4項目を示しています。関数関係の意味、比例・反比例、座標の意味を理解することと、比例・反比例を表・式・グラフなどに表すことです。〔用語・記号〕には「関数 変数 変域」が挙がっています(印刷p.82〜83)。
解説は、第1学年で小学校算数科の比例・反比例を関数の見方からあらためて捉えることも必要だとしています。その基になるものとして、数の拡張や関数の概念を挙げています(印刷p.83)。
中学校の関数領域全体について、解説は、小学校算数科との違いを挙げています(第2章 C関数「中学校数学科における取扱い」、印刷p.52)。式を文字で表して考察すること、座標平面上にグラフをかくこと、変域に負の数が入ることなどです。
また解説は、表・式・グラフを別々に扱わず、関連付けて理解させることを重視しています。手順を表、式、グラフの順に並べたのは、この点を踏まえた編集部の設計で、解説が定めた順ではありません。
比例と反比例の違いがわからない3つの背景:「増える・減る」の覚え方が崩れる場面
背景を3点に整理しました。区分は編集部のもので、1点目は解説の記述に、3点目は解説の方針に関わります。
- 「比例は増える、反比例は減る」で区別している。 小学校では正の数だけを扱うため通りますが、中1では比例定数が負の数の場合も扱い、増減が逆になる式が出てきます。
- 表の値で、商と積を確かめていない。 比例は y÷x が一定、反比例は x×y が一定です。増減だけを見ていると、表を y=ax や y=a/x の式に結ぶ手がかりが足りません。
- 表・式・グラフを別々のものとして扱っている。 表の1組の値はグラフの1点にあたります。この対応を使わない場合は、グラフに点をとる段階で流れが途切れます。
1点目について、解説は、小学校算数科の比例・反比例の学習が正の数の範囲に限られていることを前提に、次のように述べています。
そのため,比例については,x の値が増加すれば,y の値もいつも増加するというイメージをもっている生徒が少なからずいる。反比例についても,x の値が増加すれば,y の値はいつも減少するというイメージをもっている生徒がいる。
(文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」第1学年 C(1)比例,反比例 比例,反比例の変化や対応の特徴を見いだすこと(イの(ア)) 印刷p.86)
解説は、指導の方向として、比例定数が正の場合と負の場合で、式とグラフの増減を比べることなどを挙げています。手順4は、この方向に沿って表で増減を比べる形にした編集部の設計です。
増減が手がかりにならないことを、編集部作成の4つの式で確かめます(x が正の範囲で、1から2に増えたとき)。
| 式 | 種類 | x=1 のときの y | x=2 のときの y | y の動き |
|---|---|---|---|---|
| y=2x | 比例(a=2) | 2 | 4 | 増える |
| y=−2x | 比例(a=−2) | −2 | −4 | 減る |
| y=6/x | 反比例(a=6) | 6 | 3 | 減る |
| y=−6/x | 反比例(a=−6) | −6 | −3 | 増える |
比例にも反比例にも、増える式と減る式があります。増減だけでは区別できず、手がかりは商と積(または x が2倍のときの y の動き)です。
お子さんの様子ごとの戻り先を表にしました(編集部作成)。
| お子さんの様子 | 背景にありそうな点 | 先に戻る手順 |
|---|---|---|
| 表を見て「増えるから比例」と答える。y=−2x で増減が逆になる | 1(増減の覚え方) | 手順2・4 |
| 表は読めるが、y=ax と y=a/x のどちらの式に結ぶか決められない | 2(商と積) | 手順3 |
| 表は書けるが、グラフの点がとれない。点を直線で結ぶ | 3(表・式・グラフの往復) | 手順5 |
比例と反比例の違いを教える5つの手順:表・式・グラフの順に
表、式、グラフのどこでも「対応する値の組」を確かめる流れにします。

- 2つの量を決め、何を x、何を y とするかを書かせる。 例は「毎分3Lの水が出るホースで、x 分間に出る水の量を y L」です。何を文字で置くかが曖昧な場合は、前の単元の中1数学 一次方程式の文章題が立式できない理由に戻ります。先に決めるのは、あとで比例定数 a が何を表すかを読み取るためです。
- 対応する値の組を、表に一定の順で並べさせる。 x を1、2、3、4の順に並べて y を書き入れ、x が2倍のとき y がどう動くかを矢印で結びます。ホースの例では y が 3、6、9、12 で、y も2倍です。順に並べると、倍の関係を目で追えるためです。
- 表から商と積を計算させ、式にさせる。 ホースの表は y÷x が 3÷1、6÷2、9÷3、12÷4 のどれも 3 なので、y=3x です。クッキーの表は、x×y が 1×24、2×12、3×8、4×6 のどれも 24 なので、y=24/x と表せます。一定になった値を、比例定数 a と呼びます。商と積を先に確かめるのは、増減の感覚で決めず、値で決めるためです。
- 式に負の数を入れ、比例定数が正の式と負の式を並べて表を作らせる。 下の表のように x=−2〜2 で y を求め、増減を比べます。反比例は 0 でわれないため、x=0 の欄は空けます。正の数の外で、増減の感覚を確かめるための手順です。
- 表の値を座標の点としてとらせ、グラフにかかせる。 表の1組の値が点1つになります。比例は原点を通る直線、反比例は原点を通らない二本の曲線です。解説は、グラフがなめらかな曲線になること、座標軸とは交わらないことの理解を大切としています。式をもとに曲線をかくのは初めてのため、必要に応じて点をとる方法も示しています。最後の確認は、グラフから読んだ x=2 の y と、表の値が一致するかどうかです。
手順2・3と手順4で使った表です(編集部作成)。クッキーは、24個を x 人で同じ数に分けたときの1人 y 個の場面です。
| 場面 | x | 1 | 2 | 3 | 4 |
|---|---|---|---|---|---|
| ホース(比例) | y | 3 | 6 | 9 | 12 |
| クッキー(反比例) | y | 24 | 12 | 8 | 6 |
| 式 | x=−2 | x=−1 | x=0 | x=1 | x=2 |
|---|---|---|---|---|---|
| y=3x | −6 | −3 | 0 | 3 | 6 |
| y=−3x | 6 | 3 | 0 | −3 | −6 |
| y=24/x | −12 | −24 | 欄なし | 24 | 12 |
| y=−24/x | 12 | 24 | 欄なし | −24 | −12 |
y=24/x は、正と負を別々に見れば、どちらの範囲でも x が増えると y は減ります。1→2 で 24→12、−2→−1 で −12→−24 です。一方、y=−24/x は、x が1から2に増えると y が −24 から −12 に増えます。反比例でも「いつも減る」とは限りません。
確認問題(編集部作成)
自作の類題を3問置きます。
【確認問題】(編集部作成)
問1 次の(1)〜(3)は、y が x に比例か反比例か、どちらでもないかを答えてください。比例か反比例なら、y を x の式で表してください。
- (1) x=1, 2, 3, 4 のとき y=5, 10, 15, 20
- (2) x=1, 2, 4, 5 のとき y=20, 10, 5, 4
- (3) x=1, 2, 3, 4 のとき y=2, 5, 8, 11
問2 y が x に反比例し、x=3 のとき y=8 です。(1) y を x の式で表してください。(2) x=−4 のときの y の値を求めてください。
問3 x は0より大きい数とします。(ア) 1本 x 円のペンを6本買ったときの代金が y 円です。(イ) 600円を x 人でわり勘したときの1人分が y 円です。それぞれ y を x の式で表し、比例か反比例かを答えてください。
【解答】
問1 (1) 比例、y=5x (2) 反比例、y=20/x (3) どちらでもない
問2 (1) y=24/x (2) −6
問3 (ア) y=6x、比例 (イ) y=600/x、反比例
【解説】
問1は、手順2・3の確認です。
- (1) y÷x が 5 で一定なので、比例の y=5x です。
- (2) x×y が 20 で一定なので、反比例の y=20/x です。
- (3) y÷x は 2、2.5、約2.67、2.75、x×y は 2、10、24、44 で、どちらも一定ではありません。
問2は、手順3・4の計算です。反比例は x×y が一定なので、3×8=24 から y=24/x と分かります。x=−4 を入れると 24÷(−4) で −6 です。
問3は、手順1・3の確認です。(ア) の x は値段で、本数ではありません。y÷x=6 が一定なので比例の y=6x です。(イ) は x×y=600 が一定で、反比例の y=600/x です。
※本問は編集部が作成したオリジナル問題です。学校のテスト・教科書・市販ドリルからの転載ではありません。
間違えやすい罠:比例と反比例の取り違えとグラフの誤り
誤答の例を5つ、編集部が想定して並べました。右列の理由は編集部の推定です。
| やりがちな間違い | 正しい進め方 | なぜずれるか |
|---|---|---|
| 問1(3)の表を「y が増えるから比例」と答える | y÷x を計算する。2、2.5、約2.67、2.75 で一定でないので、比例ではない | 「x が増えると y も増える」を比例の定義と取り違えているため(増える関係は比例以外にもある) |
| y=−2x を「x が増えると y も増える」と答える | x=1 で y=−2、x=2 で y=−4 なので、y は減る | 小学校の正の数の範囲の覚え方を、比例定数が負の場合にも使っているため |
| y=24/x に x=−4 を入れて 6 と答える | 24÷(−4)=−6 | 負の数でわる計算で、符号を付け忘れるため |
| 反比例のグラフで、点を直線で結ぶ | y=24/x の点 (1, 24)、(2, 12)、(4, 6) は一直線上にない。曲線で結ぶ | 点の数が少なく、隣り合う点を直線で結んでしまうため |
| xy=24 を y=24x と書く | 両辺を x でわって y=24/x。x=2 を入れると 12 になる(y=24x では 48) | 積が一定の関係を、比例の式 y=ax の形に当てはめてしまうため |
5行とも、表の値で確かめると、誤答と正答が食い違います。
次に学ぶ単元:中1の空間図形の表面積へ/前の単元:中1の一次方程式へ
単元記事の学習順は、本サイトが定めた並びで、比例と反比例の前に一次方程式、後に空間図形の表面積を置いています。同じ比例と反比例でも、小6と中1では学ぶ範囲が違う単元です。小6の記事を先に確かめる進め方もあります。
- 前の単元(学習順):中1数学 一次方程式の文章題が立式できない理由
- 同じ単元の前の学年:小6算数 比例と反比例のつまずき 表で見分ける
- 次に学ぶ単元:中1数学 空間図形の表面積が求められない理由
- 教科全体の順番:算数・数学の学び方
【出典】
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説」一覧ページ(【数学編】収録) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387016.htm (2026-10-03 確認)
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」PDF https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387018_004.pdf (2026-10-03 確認)
※本文で「解説は〜」と述べた箇所のうち、引用ブロック以外は、上記の解説をもとに教え方の地図 編集部が要約・加工したものです。文部科学省が作成した文章ではありません。
※学習指導要領は改訂されることがあります。本記事の記述は上記告示時点のものです。
まとめ
- 背景は、増減の覚え方、商と積の確認不足、表・式・グラフの往復不足の3点です(編集部の整理)。
- 教える順は、量を決める、表にする、商と積で式にする、負の数で増減を比べる、グラフにかく、の5段階です。
- 比例は y÷x が、反比例は x×y が一定で、その値が比例定数 a です。
- 本サイトの学習順では、前の単元は一次方程式、次の単元は空間図形の表面積です。
本記事は家庭学習の参考情報であり、学校・専門機関の指導に代わるものではありません。 学習指導要領・教科書の内容は改訂されることがあります。最新の情報は学校・教育委員会にご確認ください。 → 免責事項
最終確認日:2026-10-03

