勉強しない子への声かけを状況別に考える|教え方の地図

勉強しない子への声かけを状況別に考える記事のアイキャッチ 家庭学習の習慣・声かけ

「勉強しなさい」と言っても動かないお子さんを前に、次の一言に迷う保護者の方へ。声かけは、お子さんの性格を判断して決めるのではなく、いま何で止まっているかという状況を見分けてから決めます。

この記事で分かること

  • 勉強に向かわない4つの状況と、その見分け方
  • 状況ごとの声かけの方向と、避けたい言い方
  • 声かけの考え方が合わないときの見直し方

本記事が扱うのは、勉強に向かわない場面の声かけを、状況別に考える全体の見取り図です。言い換えの例文を数多く並べること、机まわりの環境づくり、教科ごとの勉強法、お子さんの状態についての医学的な見立ては扱いません。具体的な言い換えは勉強しなさいと言わずに机に向かわせる工夫が、机まわりの整え方は集中できない子の勉強部屋と環境の整え方が担当します。

対象:令和8年度(2026年度)全国学力・学習状況調査(小学校6年生・中学校3年生の質問調査)の公表結果と、小・中学生の家庭学習。

勉強しない子への声かけは、性格ではなく状況を見分けてから決める

結論は、一言目を決める前に、いま止まっている状況を4つのうちのどれかに当てはめる進め方です(編集部の整理)。4つの状況は、次のとおりです。

  • やることが決まっていない。 何から始めるかが決まらず、取りかかる前に手が止まります。
  • やり方が分からない。 始めてはみるものの、進め方が分からず途中で止まります。
  • 余力がない。 疲れている、または時間に余裕がなく、取りかかれません。
  • 手応えがない。 取り組んでも結果が見えにくく、続ける理由が見つかりません。

この4つは、編集部が声かけの方向を分けるために作った整理で、定まった分類ではありません。

「勉強しなさい」は、勉強に向かってほしい気持ちは伝えても、何で止まっているかまでは指していません。やることが決まっていないお子さんにも、疲れているお子さんにも、同じ言葉が届くためです。原因とずれた言葉は、催促されたという受け止めだけが残ることがあります。

勉強しない子への声かけが空振りする理由:3つの行き違いと国の調査の目安

声かけが空振りするのは、保護者の方の努力が足りないからではありません。声かけの形と、お子さんの状況が合っていないために起きることがあります。編集部は、行き違いを次の3つに分けて整理しています。

  1. 「やる気」の問題として扱う。 気持ちの問題と読むと、声かけは催促に偏ります。状況の問題と読めば、量・やり方・時間といった条件を動かす手が打てます。
  2. 指示の大きさが状況に合っていない。 「勉強しなさい」には、何を、どこまで、いつまで、が含まれていません。やることが決まっていない場合は、この3つのどれかが分かる声かけが要ります。
  3. 話題が勉強から人柄に移る。 「いつもそうなんだから」のような言い方は、勉強の状況ではなく、お子さんの性格や能力の評価になります。評価を受けると、勉強の話を続けにくくなることがあります。

「やることが決まっていない」「やり方が分からない」状況がどのくらいありうるかは、国の調査から目安をつかめます。使うのは、国立教育政策研究所が公表した令和8年度の全国学力・学習状況調査です。小6と中3に、学習の計画の立て方や学び方が分かるかを尋ねた質問(32-1)を見ます。計画と学び方を併せて尋ねているため、編集部が目安にするのは、この2つの状況です。

「当てはまる」と「どちらかといえば、当てはまる」を合わせた割合は、小6で約79%、中3で約60%です。逆に、「どちらかといえば、当てはまらない」と「当てはまらない」を合わせると、小6で約21%、中3で約40%でした。いずれも国・公・私立の全国の回答で、編集部が合計して整数に丸めています。

この質問はお子さん自身の回答で、勉強しない理由を尋ねたものではありません。回答は、複数の項目のうちランダムに割り当てられたものに答える方式で集まったため、全員分の結果ではない点も押さえておきます。令和8年度に加わった項目のため、過去の年度とは比べられません。

読み取れるのは、否定的な回答(上で合計した値)が小6で約2割、中3で約4割だったという範囲までです。編集部は、やることが決まらない状況ややり方が分からない状況を、候補に入れておく目安として使います。お子さん個人に当てはまるかは、別に確かめます。

状況別の見分け方と声かけの方向:一言目を決める3つの問い

状況ごとの見分けるポイントと、一言目の方向、避けたい言い方を表にまとめます。表は編集部が場面を想定して整理したもので、調査で確かめた判別基準でも、言い換えの例文集でもありません。

状況見分けるポイント一言目の方向避けたい言い方
やることが決まっていない机には向かうが、何を開くかで止まる。宿題や提出物の量を把握していない今日の候補を3つ以内に絞って並べ、選んでもらう「やることくらい自分で考えなさい」
やり方が分からない取りかかるが、1問で長く止まる。間違えた理由を説明できないどこまで分かったかを尋ね、止まった手前の段階に戻る「前にも教えたでしょ」「何で分からないの」
余力がない帰宅が遅い、疲れた様子が続く。時間に余裕がない日が多い今日の量を減らす。やる日と休む日を先に決める「みんなはやっているのに」
手応えがない取り組んでも反応が薄い。やる意味を疑う発言があるできるようになった点を1つ確認し、直す箇所を1つに絞る「やらないから点が取れないんだよ」
勉強しない状況別の声かけの方向を整理した表の図

状況は、次の3つの問いを順に使うと見分けやすくなります(編集部の整理)。

  1. 取りかかる前に止まるか、取りかかってから止まるか。 前者なら「やることが決まっていない」か「余力がない」状況を、後者なら「やり方が分からない」か「手応えがない」状況を先に疑います。
  2. 止まるのは特定の教科か、どの教科でも同じか。 特定の教科なら、やり方か手応えの状況を先に疑います。どの教科でも同じなら、余力か、やることが決まっていない状況を先に確認します。
  3. この1〜2週間で、時間や疲れの条件が変わったか。 部活・行事・習い事・睡眠時間が変わると、余力の状況が急に出ることがあります。

問いで絞れず2つの状況が重なる場合は、動かしやすいほうから声をかけます。

一言目は、指示ではなく問いの形にします。「勉強しなさい」と行為を指示する声かけと、「どこまで進んだ」と状況を尋ねる声かけでは、お子さんが答えやすい形が違います。問いなら、見立てが外れていても、返ってきた答えで直せる点が利点です。

状況ごとの声かけの考え方と、次の一手

4つの状況ごとに、声かけの方向を選ぶ理由と次の一手を見ます。

やることが決まっていない場合

取りかかる前に手が止まるなら、決める作業の一部を保護者の方が引き受けるのが先です。広く尋ねるより、宿題や提出物から候補を出し、3つ以内に絞って選んでもらいます。選ぶ作業が残るため、指示にはなりにくくなります。次の一手は、翌日の分を前日に決めておく流れです。

やり方が分からない場合

始めても止まるなら、止まっている地点を特定する声かけが先です。「どこまで分かったか」を尋ねて、分かっている手前まで戻ります。答えを先に教えてしまうと、どこで止まったかが見えにくくなります。次の一手は、教科ごとの考え方の順番の確認です(例は後述)。

余力がない場合

疲れや時間が原因なら、声かけより先に、量と時間を調整します。平日の上限と、休む曜日を先に決めておくと、毎日の催促が減りやすくなります。取りかかったあとに気が散る場合は、机まわりの環境の見直しが先です。疲れた様子が長く続く場合は、後述の「合わない場合」も確認してください。

手応えがない場合

結果が見えにくいと、続ける理由が薄れることがあります。点数ではなく、できるようになった点を1つ確認し、直す箇所を1つに絞ります。点数が学校の評価にどう入るかという仕組みは、内申点はどこで決まるのか 提出物と定期テストを確認してください。

勉強しない子への声かけでやってしまいがちな逆効果と直し方

声かけが状況と合わないと、次のような経過をたどることがあります。表の内容は、編集部が場面を想定して書いたもので、調査で確かめたものではありません。

やりがちな対応起きること直し方
状況を確かめずに「勉強しなさい」を繰り返す原因とずれたまま、催促そのものがやりとりの中心になることがある4つの状況のどれかを、問いの形で確かめる
きょうだいや友達と比べる話題が勉強から比較に移り、止まっている理由を聞き出せなくなることがある比べる相手を、1か月前のお子さん自身にする
テストの点だけを話題にする手応えのない状況が続き、取り組みの話がしにくくなることがある点数の前に、取り組んだ内容と直す箇所を1つ確認する
「やる気が出たらやればいい」と待ち続ける量・時間・やり方が整わないまま、状況が長引くことがある待つ期間を決め、その間に3つの問いを試す

声かけを変えても、すぐに反応が変わるとは限りません。1〜2週間は同じ型で続けて見直します。

この声かけの考え方が合わない場合

4つの型での見立てが合わないのは、次のような場合です。

  • 4つのどれにも当てはまらない場合。 4つは編集部の整理のため、無理に当てはめず、止まる場面を書き出して特定します。
  • 1〜2週間続けても反応が変わらない場合。 状況の見立てが外れている可能性があります。別の状況の型に切り替えて、同じ期間を試します。
  • 勉強の場面に限らず、お子さんの様子が気になる状態が続く場合。 この記事の声かけの整理だけでは足りないことがあります。家庭での様子を学校の担任の先生に伝え、学校での様子も聞いてみてください。

本記事が整理したのは声かけの進め方で、お子さんの状態を見極めるための資料ではありません。

教科の勉強に活かす例:やり方が分からないときの声かけ

次の一手は、教科の勉強の進め方です。「やり方が分からない」状況を例に、教科への当てはめを2つ挙げます。

算数・数学では、止まっている単元を尋ねたうえで、前の学年に戻る必要があるかを確かめます。前の学年の単元とのつながりを見るなら、算数・数学の学び方 学年別につまずきを整理から学年別のページへ進めます。

国語では、物語文の登場人物の気持ちが読み取れないように、止まる場所が文章中の言葉と結びつきます。「どの言葉でそう思ったか」と尋ねれば、状況が見えやすい場面です。気持ちを読み取る手順は、国語 物語文の読解のコツ 心情の読み取り方が扱っています。

【出典】

  • 国立教育政策研究所「令和8年度 全国学力・学習状況調査 報告書【質問調査】」 https://www.nier.go.jp/26chousakekkahoukoku/report/data/26qn.pdf (2026-10-03 確認)

※本文の数値は、上の報告書の「回答結果集計」(全国-児童・生徒(国・公・私立))の質問(32-1)による。小学校は印刷p.153、中学校は印刷p.158。

※本文で上の資料の内容を述べた箇所は、教え方の地図 編集部が要約・加工したものです。国立教育政策研究所が作成した文章ではありません。

※調査の質問項目や結果の公表内容は、年度ごとに変わります。本記事の記述は上記年度のものです。最新の情報は文部科学省・国立教育政策研究所にご確認ください。

まとめ

  1. 声かけの前に、止まっている状況を4つの型(決まっていない・やり方・余力・手応え)で見分けます。
  2. 見分ける問いは、取りかかる前後、教科の範囲、この1〜2週間の条件の3つです。
  3. 一言目は指示ではなく問いの形にし、量・やり方・時間・直す箇所のどれを動かすかを決めます。
  4. 比べる、待ち続ける、人柄に触れるといった言い方は、止まっている理由を聞き出しにくくすることがあります。
  5. 型が合わないときや反応が変わらないときは、型を切り替え、担任の先生と様子を共有します。

本記事は家庭学習の参考情報であり、学校・専門機関の指導に代わるものではありません。 学習指導要領・教科書の内容は改訂されることがあります。最新の情報は学校・教育委員会にご確認ください。 → 免責事項

最終確認日:2026-10-03

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