問題集も通信教育もドリルも家にあるのに、どれも途中のまま増えていく。そのような場合は、新しい教材を探す前に、教材ごとの役割を見直します。本記事では、使い分けを、1つの教材に役割を1つ決めることとして整理します。
この記事で分かること
- 問題集・通信教育・ドリルの役割の違い
- 手元の教材を使い切るための4つの手順
- 教材が進まなくなる3つの行き違い
本記事が扱うのは、手元にある教材の役割を分けて使う全体の考え方です。特定の教材の評価や順位づけ、教科ごとの教材の中身、塾の選び方は扱いません。次の2つは、別の記事で扱っています。問題集を最後まで進める手順は買った問題集を最後までやらせる進め方、通信教育と紙のドリルの分担は通信教育と紙のドリルの使い分けを考えるです。
対象:小学生・中学生の家庭学習で使う市販の問題集・通信教育・ドリル。参照した調査は、令和8年度(2026年度)全国学力・学習状況調査(小学校6年生・中学校3年生の質問調査)です。
問題集・通信教育・ドリルの使い分け:役割を1つずつ決める考え方
結論は、新しい教材を足す前に、手元の教材へ役割を1つずつ割り当てる進め方です(編集部の整理)。順番は次の4つです。
- 手元の教材を並べて、種類と残りの量を書き出す。
- 教材ごとに、役割を1つ決める。
- 1回の量と、丸つけ・直しの担当を決める。
- 終わったページを記録する。
教材が進まないとき、原因は教材そのものより、役割と量が決まっていないことにある場合があります(編集部の整理)。役割が決まっていない教材は、今日どこまでやればよいかが見えません。やる日と量が決まらないまま、次の教材が増えていきます。
どの教材を買うかの判断は、本記事では扱いません。役割を割り当てたあとに足りない役割が残った場合に限り、その役割を担う教材を足すかどうかを考えます。
問題集・通信教育・ドリルの役割の違い:単元を通す・型を反復する・届く順に進める
教材は種類ごとに、得意な役割が違います。下の表は、編集部が構成の傾向から整理したものです。教材によって構成は異なるため、手元の教材の目次や使い方のページと照らして読んでください。
| 教材 | 構成の傾向 | 役割 | 進め方の単位 |
|---|---|---|---|
| 市販の問題集 | 単元ごとに、解説・例題・練習問題が並ぶものが多い | 1つの単元を通して解く | 単元(章)ごと。範囲を決めて進める |
| 計算ドリル・漢字ドリルなど | 同じ型の問題が、短い量で繰り返し並ぶものが多い | 同じ型を反復して慣らす | 1回分ごと。短時間で毎回進める |
| 通信教育 | 決まった間隔で教材が届き、採点や添削、学習の記録が付くものがある | 届く形式なら、届く順に進め、外から区切りをもらう | 届いた1回分ごと。届いた順に進める |

役割が違うため、同じ使い方を当てはめると止まりやすくなります。たとえば、問題集の解説と例題を飛ばして練習問題だけを進めると、単元の流れがつかみにくくなることがあります。
教材が使い切れなくなる3つの行き違い
教材が進まないときの保護者側のずれは、次の3つに分けて整理できます(編集部の整理)。
- 足して解決しようとする。 別の教材を買い足しても、手元の教材が増えるだけで、進まない原因(量・時間・役割)が残ることがあります。
- 丸つけと直しを分けていない。 丸つけは答えを確かめる作業、直しは間違えた問題をやり直す作業です。丸つけで終えると、間違いの型が次の回にも残ることがあります。
- 進める量を決めていない。 「今日はどこまで」が決まっていないと、始める前に量の判断が要り、取りかかりが重くなりやすくなります。
手元の教材を使い切るための4つの手順:棚卸し・役割・量と担当・記録
手順は4つで、決める内容は紙1枚に書ける量です。
| 手順 | 決めること | かける時間の目安 | できていれば次へ |
|---|---|---|---|
| 1. 棚卸し | 教材の種類と、残りのおおよその量 | 10分ほど | 教材ごとに、どこまで終わったかを言える |
| 2. 役割を決める | 教材ごとの役割を1つ | 10分ほど | 役割が重なる教材が1組もない |
| 3. 量と担当を決める | 1日の枠、1回の量、丸つけと直しの担当 | 10分ほど | いつ・どこまで・誰が丸つけるかを1文で言える |
| 4. 記録する | 終わったページ、日付、直しの有無 | 毎回1分ほど | 1週間後に見返して、量を調整できる |
時間と見返しの間隔は編集部の目安で、調査で確かめた値ではありません。
手順1 棚卸し:並べて、種類と残りの量を書き出す
家にある問題集、通信教育の届いた分、ドリルを、1か所に並べます。教材の種類(問題集・ドリル・通信教育)と、残りのおおよその量(ページ数や回数)を紙に書きます。
手順2 役割を決める:1つの教材に1つ
先の表の3つの役割から、教材ごとに1つ選びます。たとえば、単元の理解は問題集、計算の慣らしはドリル、届く順の区切りは通信教育、という分け方です。役割が重なる教材は、いまは使わない教材として棚に戻します。処分の判断ではなく、順番を待たせるだけです。
手順3 量と担当を決める:1回の量・丸つけ・直し
1回の量は、ページ数か問題数で決めます。時間で決めると、解く速さで量が変わるためです。丸つけは誰が、いつ行うかを決めます。直しは、その日のうちか翌日かを決めます。
丸つけをお子さん自身が行う場合は、保護者の方が見る箇所を決めておきます。たとえば、間違いの多かった問題だけを見る、という決め方です。1日何ページずつ進めて何日で終えるかという計画は、別の記事で扱っています。量と担当を決めたあとに、机に向かうまでの合図や終わりの時刻を決める方法は、勉強しなさいと言わずに机に向かわせる工夫で確認できます。
手順4 記録する:終わったページを残す
終わったページ、日付、直しが済んだかを、1行で残します。
1日の枠は家庭で決める:国の調査にみる平日の勉強時間の分布(参考)
手順3で1回の量を決める前に、教材に使える1日の枠(時間)を家庭で決めておきます。1日に取れる時間は家庭ごとに違います。参考として、令和8年度の全国学力・学習状況調査(国立教育政策研究所が公表)の質問調査を紹介しますが、枠の長さの根拠にはしません。
小6と中3に、学校の授業時間以外の平日の勉強時間を尋ねた質問(23)を見ます。回答には、塾や家庭教師のもとで学ぶ時間と、ネットを使った学習の時間も入ります。選択肢は6つで、編集部が3つにまとめて、整数に丸めました。内訳は、2時間以上が「3時間以上」と2時間台、30分以上2時間未満が1時間台と30分台、30分未満が「30分より少ない」と「全くしない」です。国・公・私立の全国の回答で、全員に尋ねた質問です。
| 学年 | 2時間以上 | 30分以上2時間未満 | 30分未満(全くしないを含む) |
|---|---|---|---|
| 小6 | 約22% | 約57% | 約20% |
| 中3 | 約30% | 約51% | 約18% |
割合は、無回答を含む児童・生徒の人数に対するもので、丸めているため、各行の合計は100%になりません。
読み取れるのは、次の範囲までです。「30分以上2時間未満」の回答が半数を超え(小6約57%・中3約51%)、2時間以上と30分未満にも分かれています。対象は小6と中3だけです。お子さん自身の回答で、教材ごとの使い方を比べた結果ではありません。塾などの時間を含むため、家庭学習だけの時間でもありません。
編集部は、この分布を、枠の長さを決める根拠にはしません。目指す基準でも、お子さんに合う時間を示すものでもありません。習い事や睡眠時間、学校の宿題の量などの条件を踏まえ、家庭で枠を決めます。
枠が決まったら、教材ごとの量を足し合わせて、枠に収まるかを確かめます。たとえば、平日の枠を45分と置くと、問題集に20分、ドリルに10分、通信教育に15分という割り振りができます。示した数字は計算の見本で、目標にする時間ではありません。
問題集・通信教育・ドリルの使い方で起きやすい失敗と直し方
教材が進まなくなる使い方を、編集部が場面を想定して表にしました。調査や研究で確かめたものではありません。
| やりがちな使わせ方 | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| 途中の教材を残したまま、別の教材を買い足す | どれも途中のまま増え、どこまで進んだかが分からなくなることがある | 手順1の棚卸しに戻り、残りの多い教材から役割を決める |
| 丸つけだけして、直しの日を決めない | 間違えた問題が次の回まで残り、同じ型の誤りが続くことがある | 丸つけの担当と、直しの日(当日か翌日か)を先に決める |
| 解説の少ないドリルで、新しい単元を始める | 止まる回数が増え、取り組み自体を避けやすくなることがある | 新しい単元は問題集の解説と例題から入り、ドリルは慣らす段階で使う |
| 通信教育の届いた分を、テスト範囲に合わせて飛ばす | 届く順の流れが崩れ、飛ばした分が残ることがある | 飛ばした回と戻る日を記録に残す |
どの直し方も、手順1〜3のどこかに戻る形です。同じ決め方で、編集部の目安では1週間ほど続けてから見直します。
教材の記録の付け方:次の判断に使う4項目
記録は、教材ごとに1行で足ります。次の判断に使う項目だけを残します。
- 日付と範囲(ページや問題番号)
- 丸つけの結果(間違いの数)
- 直しが済んだか
- 止まった箇所(あれば1行)
週に1回(編集部の目安)、記録を見て次の3点を確かめます。
- 量が、1日の枠に収まっているか。
- 直しの未了が、増えていないか。
- 決めた役割と、実際の使い方がずれていないか。
直しの未了が増えている場合は、量を減らす前に、直しの日を決め直します。直しが済まないまま進むと、間違いの型が積み上がることがあるためです。
この進め方が合わない場合と、教科への当てはめ
役割を分けても進まない場合は、次のように進め方を変えます。
この進め方が合わない場合
- 学校から指定された教材や提出物がある場合。 学校の指示が先です。提出期限のある教材を先に置き、残りの枠で役割を分けます。
- 塾や家庭教師の先生が教材を指定している場合。 先生の指示に合わせます。役割の分け方は、先生に確認して決めます。
- 教材を減らしても続かない場合。 量と担当の見直しだけでは足りないことがあります。担任の先生に家庭での取り組みを伝え、学校での様子もあわせて尋ねます。
つまずいた単元の類題を足したいとき:算数・数学と国語の例
類題を増やしたくなったときも、新しい教材を足す前に、手元の教材に同じ単元の練習が残っていないかを確かめます。問題集なら該当単元の章、ドリルなら同じ型のページ、通信教育ならその単元を含む回です。
算数・数学では、止まっている単元が前の学年の内容につながっている場合があります。そのときは、問題集の役割を前の学年の該当単元の解き直しに充てるのが一案です。算数・数学の学び方 学年別につまずきを整理では、止まっている単元が前の学年のどの内容に結びつくかを調べられます。
国語の読解で設問を増やしたいときは、先に、答えの根拠にする言葉の探し方を確かめてください。物語文の心情をどう読み取るかは、国語 物語文の読解のコツ 心情の読み取り方で手順を確認できます。
【出典】
- 国立教育政策研究所「令和8年度 全国学力・学習状況調査 報告書【質問調査】」 https://www.nier.go.jp/26chousakekkahoukoku/report/data/26qn.pdf (2026-10-03 確認)
※本文の数値は、上の報告書の「回答結果集計」(全国-児童・生徒(国・公・私立))の質問(23)による。小学校は印刷p.153、中学校は印刷p.158。
※本文で上の資料の内容を述べた箇所は、教え方の地図 編集部が要約・加工したものです。国立教育政策研究所が作成した文章ではありません。
※調査の質問項目や結果の公表内容は、年度ごとに変わります。本記事の記述は上記年度のものです。最新の情報は文部科学省・国立教育政策研究所にご確認ください。
まとめ
- 教材を足す前に、手元の教材を並べて、1つの教材に役割を1つ決めます。
- 教材の役割には違いがあります(編集部の整理)。問題集は単元を通して解き、ドリルは同じ型を反復し、通信教育(届く形式のもの)は届く順に進めます。
- 1回の量と、丸つけ・直しの担当を先に決めます。1日の枠は家庭で決め、国の調査の分布は参考の紹介です。
- 足して解決する、丸つけで終える、量を決めない、という使い方は進まなくなる原因になることがあります。
- 進まない場合は、学校や塾の指定を優先します。教材を減らしても続かないときは、担任の先生に家庭での取り組みを伝えます。
本記事は家庭学習の参考情報であり、学校・専門機関の指導に代わるものではありません。 学習指導要領・教科書の内容は改訂されることがあります。最新の情報は学校・教育委員会にご確認ください。 → 免責事項
最終確認日:2026-10-03
