国語 物語文の読解のコツ 心情の読み取り方|教え方の地図

国語の物語文の読解のコツを解説する記事のアイキャッチ 単元別のつまずき解説

物語文の設問で、登場人物の気持ちを「うれしい」「悲しい」の2語でしか答えられない場合は、心情が書かれていない場面の手がかりを拾えていない可能性があります。行動・会話・情景に線を引き、場面の前後を比べ、根拠を文中で指させる順で教えると、読み取りの筋道を確かめやすくなります。

この記事で分かること

  • 心情の読み取りでつまずく3つの背景(二択・暗示・感想との混同)
  • 行動・会話・情景から心情を読み取る5つの手順
  • 自作の短い物語文を読んで答える確認問題と、誤答になりやすい5つの型

本記事が扱うのは、物語文(文学的な文章)で、登場人物の心情を文中の叙述から読み取る方法です。説明文の要点、指示語・接続語、記述問題の書き方は扱いません。小1・小2と、中2以降の記述も扱いません。

対象:学習指導要領(小学校 平成29年告示・2020年度全面実施)国語編の第3〜6学年、同(中学校 平成29年告示・2021年度全面実施)国語編の第1学年

国語の物語文の読解では、心情の読み取りで何を学ぶか

学習指導要領の解説は、登場人物の気持ちを叙述から捉えることを、小学校の第3学年及び第4学年の「C 読むこと」に挙げています(印刷p.108)。同解説は、気持ちを捉える手がかりに、行動や会話のほか地の文などの叙述を示しています(印刷p.109)。

第5学年及び第6学年の解説は、心情の表れ方を次のように説明しています。

登場人物の心情は,直接的に描写されている場合もあるが,登場人物相互の関係に基づいた行動や会話,情景などを通して暗示的に表現されている場合もある。

(文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編」第3章 各学年の内容 第3節 第5学年及び第6学年の内容 2 〔思考力,判断力,表現力等〕 C 読むこと (1) イ 登場人物の相互関係や心情などについて,描写を基に捉えること。 印刷p.147)

心情が直接書かれていない場面で行動・会話・情景を手がかりにする根拠として、本記事はこの記述を使います。中学校第1学年の解説にも同趣旨の説明があります(中学校 解説 国語編、印刷p.69)。

気持ちの変化は、場面の移り変わりと結び付けて想像する項目が第3学年及び第4学年にあります(印刷p.110)。解説は、人物の気持ちが情景に表れている場合が多いと述べています(印刷p.111)。

物語文の心情がつかめない3つのつまずき

つまずきの構造を、次の3点に分けました(編集部の区分)。1点目は語彙、2点目は手がかりの探し方、3点目は感想との切り分けに関わります。

  1. 気持ちを「うれしい」「悲しい」の二択に寄せてしまう。 「ほっとした」「がっかりした」「不満だった」のような中間の言葉が出てこないと、場面に合わない答えになります。
  2. 心情が書かれていない場面で、手がかりを拾えない。 「気持ちを表す言葉が文中にない」と感じて手が止まる形です。上の解説の記述のとおり、心情を行動・会話・情景から読み取る場面もあります。
  3. 自分の感想と、登場人物の気持ちを混同する。 「かわいそう」「自分ならおこる」は読み手の感想です。解説は、感想や考えをもつことを、理解した内容を土台にする別の項目として挙げています(第3学年及び第4学年のオ、印刷p.111)。

戻り先の目安です(編集部作成。診断ではありません)。

お子さんの様子背景にありそうな点先に戻る手順
気持ちを聞くと、「悲しい」「うれしい」ばかり答える1(二択)手順3
「気持ちを表す言葉は書いてない」と言って、答えが空欄になる2(暗示の見落とし)手順1・2
答えが「かわいそうだと思う」になる3(感想との混同)手順5

物語文の読解のコツ:心情を読み取る5つの手順

以下は編集部の設計案です。1つずつ足す順にすると、止まった場所を切り分けやすくなります。

物語文の心情を読み取る5つの手順を示した図
  1. 心情を直接表す言葉が、設問の場面にあるかを調べさせる。 「うれしそうに」「腹が立って」のような言葉があれば、それが根拠の1つです。ない場合は手順2へ進む、と先に決めておくと、「書いていない」で止まりにくくなります。
  2. 行動・会話・情景を、線の種類を変えて引かせる。 行動は実線、会話は二重線、情景は波線のように分けます。解説は、心情が人物どうしの関係を踏まえた行動・会話・情景によって、暗に示される場合があるとしています(印刷p.147)。
  3. 線を引いた箇所から、気持ちを表す言葉を2〜3個、候補として書かせる。 「悲しい」だけで止まらず、近い言葉を並べ、場面に合う1語を選ばせます。言葉が出ない場合は、下の表のように保護者の方が候補を示します。
  4. 場面の切れ目(時間・場所・出来事が変わる所)に印を付け、前後で同じ種類の手がかりを比べさせる。 手の動きや天気の描写などを並べます。解説は、物語では場面が進む中で気持ちが揺れ動く描き方が多いと説明しています(印刷p.111)。
  5. 気持ちの根拠を文中の言葉で指させ、「○○から△△が分かる」の形で答えさせる。 「どの言葉からそう読めたの」と尋ね、該当する文を指で押さえさせます。「かわいそう」のような言葉が出たら、否定せず、読み手自身の思いとして脇に置き、登場人物の気持ちは別に書かせます。

気持ちを表す言葉の候補(編集部作成の例)です。

出発点の言葉近い言葉の例
うれしいほっとする/誇らしい/わくわくする/ありがたい
悲しいさびしい/がっかりする/くやしい/心細い
怒り不満/腹が立つ/あきれる/納得できない
不安心配/ためらう/気が重い/落ち着かない

解説は、どの叙述どうしを組み合わせて読むかによって、気持ちの変化もそのきっかけも、見え方が変わりうると述べています(印刷p.111)。家庭では、答えが1語に一致するかだけでなく、根拠を文中で指せるかも確認します。

文中の「それ」「その」が何を指すか分からず手が止まる場合は、国語 指示語と接続語の読み取り方の基本で扱います。

物語文と説明文は、根拠の探し方が違う

説明的な文章について、解説は、段落どうしの関係から書き手の考えと理由・事例の結び付きを捉えるとしています(第3学年及び第4学年、印刷p.108〜109)。次の表は、物語文と比べた編集部の整理です。

物語文説明文
主に手がかりにするもの行動・会話・情景などの描写段落どうしの関係(考えと、理由・事例)
比べる単位場面の前後段落と段落
根拠の示し方「○○から△△が分かる」要点を支える文や段落を指す

説明文の要点のつかみ方は、国語 説明文の読解のコツ 要点のつかみ方で扱います。

確認問題(編集部作成)

手順1〜5を、編集部が作った短い物語文で確かめます。人物・場面は編集部の創作です。保護者の方がお子さんに出題する形で、問3は上の表を伝えたあとに尋ねます。解答・解説は保護者の方向けです。

【確認問題】(編集部作成)

次の文章を読んで、問いに答えてください。

(場面1)放課後の昇降口で、ひなたは靴箱の前に立っていた。「いっしょに帰ろうって言ったのに。」小さくつぶやくと、青い傘の柄を強くにぎった。外では雨が窓をたたいている。

(場面2)校門を出たとき、うしろから「ひなた。」と呼ぶ声がした。沙耶が息を切らして走ってくる。「先生に呼ばれてたの。ごめんね。」ひなたは、にぎっていた手の力をゆるめた。雨はいつのまにか小降りになり、雲の切れ間から薄い光がさしていた。

問1 場面1で、ひなたの気持ちが分かる叙述(行動・会話・情景)を、文中から2つ抜き出してください。

問2 場面1から場面2で、ひなたの気持ちはどう変わりましたか。「うれしい」「悲しい」以外の言葉を使い、場面1と場面2から根拠になる叙述を1つずつ挙げて答えてください。

問3 物語文で心情の根拠を探すときと、説明文で書き手の考えの理由を探すときとで、着目するものは何ですか。

【解答】

問1 次のうち2つ。「いっしょに帰ろうって言ったのに」(会話)、「青い傘の柄を強くにぎった」(行動)、「雨が窓をたたいている」(情景)。「小さくつぶやく」も手がかりとして認めてかまいません

問2 例:約束していたのに沙耶が来ないことに、不満やさびしさを感じていたが、事情が分かってほっとした。根拠は、場面1の「青い傘の柄を強くにぎった」と、場面2の「にぎっていた手の力をゆるめた」(行動の比較)。変化のきっかけは、沙耶の「先生に呼ばれてたの。ごめんね。」(会話)

問3 物語文は、行動・会話・情景などの描写。説明文は、段落どうしの関係(考えと、それを支える理由や事例)

【解説】

問1は、手順1・2の確認です。場面1には心情を直接表す言葉がないため(手順1)、行動・会話・情景から探します(手順2)。

問2は、手順3〜5の確認です。場面1から「不満」「さびしい」などの候補を出し(手順3)、場面1と場面2の間で前後を比べます(手順4)。手の力、会話、雨の降り方が前後で変わっているため、気持ちが和らいだと読めます。答えは「『手の力をゆるめた』から、ほっとしたことが分かる」の形です(手順5)。「かわいそう」は感想で、気持ちの答えには使いません。

問3は、「説明文との違い」の表の確認です。

※本問は編集部が作成したオリジナル問題です。学校のテスト・教科書・市販ドリルからの転載ではありません。

類題をさらに解かせたい場合の教材の使い方は、問題集・通信教育・ドリルの使い分け方で扱っています。

間違えやすい罠:心情と感想の混同、根拠の取り違え

想定される誤答を5つ並べました。右列の理由は編集部の推定です。

やりがちな間違い正しい進め方なぜずれるか
問2を「悲しい→うれしい」と答える場面1は期待と食い違っているため、「不満」「さびしい」が文中の手がかりに合う。場面2は「ほっとした」二択に寄せて、手順3の候補出しを飛ばすため
問1で「雨が窓をたたいている」だけを抜き出し、問2で「雨だから悲しい」と答える情景は、場面の中で変わる気持ちと併せて読む。会話・行動の手がかりと並べる情景を単独で扱い、会話・行動と結び付けていないため
問2を「ひなたはかわいそう」と答える「かわいそう」は読み手の感想。「不満」のように、ひなたの側の言葉で答える感想と心情を分けず、手順5を飛ばすため
問2で、沙耶の「ごめんね」だけを、ひなたの気持ちの根拠にする「ごめんね」は沙耶の言葉で、変化のきっかけ。ひなたの気持ちは、ひなた自身の「手の力をゆるめた」で読む誰の行動・会話かを区別せず、きっかけと気持ちの表れを同じに扱うため
問2の根拠を、場面2からだけ挙げる場面1と場面2から1つずつ挙げ、前後を並べる。「強くにぎった」から「ゆるめた」へ、と変化が見える前の状態と比べず、手順4を飛ばすため

次に学ぶ単元:説明文の要点のつかみ方へ

根拠を文中で指す動作は、説明文でも使います。次は説明文の要点のつかみ方です。

【出典】

  • 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編」PDF https://www.mext.go.jp/content/20220606-mxt_kyoiku02-100002607_002.pdf (2026-10-03 確認)
  • 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編」PDF https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387018_002.pdf (2026-10-03 確認)

※本文で「解説は〜」と述べた箇所のうち、引用ブロック以外は、上記の解説をもとに教え方の地図 編集部が要約・加工したものです。文部科学省が作成した文章ではありません。

※学習指導要領は改訂されることがあります。本記事の記述は上記告示時点のものです。

まとめ

  1. つまずきは、二択への偏り、暗示された心情の見落とし、感想との混同の3点です(編集部の整理)。
  2. 教える順は、直接の言葉、線引き、気持ちの言葉の候補、場面の前後の比較、根拠の指示です。
  3. 答えが1語に一致するかだけでなく、根拠を文中で指せるかも確認します。

本記事は家庭学習の参考情報であり、学校・専門機関の指導に代わるものではありません。 学習指導要領・教科書の内容は改訂されることがあります。最新の情報は学校・教育委員会にご確認ください。 → 免責事項

最終確認日:2026-10-03

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