「それ」が何を指すのか、「ところが」の前後がどうつながるのかが分からず、国語の設問で手が止まるお子さんがいます。この場合は、指示語は前の文に戻って当てはめる順で、接続語は前後の関係を一言で言わせる順で教えると、止まる場所を確かめやすくなります。
この記事で分かること
- 指示語・接続語の読み取りでつまずく3つの理由
- 当てはめ読みと「一言で言う」を使った5つの手順
- 確認問題(編集部作成)と、誤答5例の理由
本記事が扱うのは、指示語(こ・そ・あ・ど言葉)が指す内容と、接続語が結ぶ前後の関係を読み取る方法です。物語文の心情、説明文の要点、記述問題の書き方、接続語のない文どうしのつながりは扱いません。小1・小2と中2以降も扱いません。
対象:学習指導要領(小学校 平成29年告示・2020年度全面実施)国語編の第3〜6学年、同(中学校 平成29年告示・2021年度全面実施)国語編の第1学年
国語の指示語・接続語の読み取りでは何を学ぶか
学習指導要領の解説は、指示する語句と接続する語句の役割を、小学校の第3学年及び第4学年の「言葉の特徴や使い方に関する事項」に挙げています(印刷p.82)。指示する語句の定義は、同じ解説の次の記述にあります。
指示する語句とは,物事を指し示す役割をもつ語句のことである。具体的には,いわゆる「こ・そ・あ・ど言葉」と言われるものがこれに当たる。
(文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編」第3章 各学年の内容 第2節 第3学年及び第4学年の内容 1 〔知識及び技能〕 (1) 言葉の特徴や使い方に関する事項 カ 主語と述語との関係,修飾と被修飾との関係,指示する語句と接続する語句の役割,段落の役割について理解すること。 印刷p.83)
同じページで解説は、接続する語句にも定義を置き、具体例として「つなぎ言葉」を挙げています(印刷p.83)。本記事は、この説明のとおり、「こ・そ・あ・ど言葉」を指示語、「つなぎ言葉」を接続語と呼びます。読み手が接続語を手がかりに前後の関係を読み取る使い方は、解説が書いている内容ではなく、編集部の整理です。
次の表は、項目名に語が出る箇所だけを挙げた整理です(編集部作成)。小5・小6の欄に指示語が無いのは、5・6年で扱わないという意味ではありません。
| 学年 | 解説の項目で挙がっている内容 | 解説の該当ページ(印刷) |
|---|---|---|
| 小3・小4 | 指示する語句と接続する語句の役割 | 小学校 p.82〜83 |
| 小5・小6 | 文と文との接続の関係 | 小学校 p.120〜121 |
| 中1 | 指示する語句と接続する語句の役割の理解を深めること | 中学校 p.44 |
指示語・接続語でつまずく3つの理由
つまずきを、指示語で1点、接続語で2点の計3点に整理しました(編集部の区分)。各項目の末尾は、先に戻る手順の目安で、診断ではありません。
- 指示語が指す内容を、直前の1語だけで決めてしまう。 「それ」の直前にある名詞を、そのまま答えにする形です。指す内容が1語とは限らず、直前の文全体や、さらに前の文にわたる場合があります。この点は解説(印刷p.83)に記述がなく、編集部の整理です。先に戻る手順は2・3です。
- 接続語を飛ばして読む。 文頭の短い言葉を飾りと見なし、後ろの文を前の文と同じ向きの内容として読む形です。「ところが」や「しかし」を飛ばすと、反対の内容を同じ向きの内容と取り違えやすくなります。先に戻る手順は1・4です。
- 接続語の語と、前後の関係が結びつかない。 語の一覧を覚えていても、前の文と後ろの文を読んで関係を言えない形です。「そのため」のように「そ」を含む接続語を、指示語として扱ってしまう取り違えも想定されます。先に戻る手順は4・5です。
指示語と接続語の読み取り方:5つの手順
以下は編集部の設計案です。各手順で確認する点を1つに絞ったため、止まった位置を特定しやすくなります。

- 指示語と接続語に、別々の印を付けさせる。 指示語は丸、文頭などにある接続語は四角で囲ませます。2種を分けるのは、指示語では指す内容を探し、接続語では前後の関係を言う、と次にやることが違うためです。
- 指示語が指す内容の候補を、指示語より前の文から探させる。 直前の1語で決めず、直前の文全体、足りなければさらに前の文へさかのぼらせます。指す内容は1語とは限らず、1語に絞ると取り違えやすくなります。
- 候補を指示語の位置に入れ、文を読み直させる。 意味が通れば、その候補が答えです。通らなければ手順2に戻って候補の範囲を広げ、前の文に見当たらないときは後ろの文も確かめます。
- 接続語の前の文と後ろの文を短く言わせ、2つの関係を一言で言わせる。 「前は理由、後ろは結果」「前は良い点、後ろはその反対」のような言い方で足ります。語の名前から入らないのは、語を暗記していても、前後を読まなければ関係が決まらないためです。
- 一言を、下の表の働きの名前と結ばせる。 「反対」なら逆接、「理由と結果」なら順接、のように、言い方から名前へ進めます。名前は最後に付けるので、覚えきれていなくても、関係を言えているかは確かめられます。
接続語の働きと、前後の関係の言い方です(編集部作成)。
| 働き | 接続語の例 | 前後の関係の言い方 | 働きの名前の出どころ |
|---|---|---|---|
| 順接 | だから、そのため | 前が理由、後ろがその結果 | 解説(中学校 p.44) |
| 逆接 | しかし、ところが | 前と後ろが反対の向き | 解説(中学校 p.44) |
| 累加 | さらに、そのうえ | 前の内容に、後ろの内容を付け足す | 解説(中学校 p.44) |
| 対比 | 一方、他方 | 2つの内容を並べて比べる | 解説(中学校 p.44) |
| 例示 | たとえば | 前の内容の具体例が続く | 編集部の整理 |
| 言い換え | つまり | 前の内容を言い直す、まとめる | 編集部の整理 |
中学校の解説には、つなぎ言葉の働きの名前として、順接・逆接・並立・累加・対比・選択・転換などが出てきます(印刷p.44)。表は、このうち4つを使います。「例示」「言い換え」は、この箇所の分類名に見当たらないため、編集部が加えました。
「接続語の例」も、語と働きの対応づけも、編集部の整理です。解説は接続する語句の例に「そのため」「一方」「他方」などを挙げますが、各語がどの働きに当たるかは述べていません(印刷p.44)。「一方」「他方」は、使われ方によって別の働きとして読むこともできます。
小学校の解説の該当箇所(印刷p.82〜83・p.120〜121)には、分類名が出てきません。分類名を習っていないお子さんは、「前後の関係の言い方」の列だけで手順4まで進める形にしています。
心情の読み取りは国語 物語文の読解のコツ 心情の読み取り方で、段落の役割の見分け方は国語 説明文の読解のコツ 要点のつかみ方で扱っています。字数の指定がある解答に、指す内容を書く場面は、国語 記述問題で点を失いやすい書き方と確かめ方の範囲です。
確認問題(編集部作成)
手順1〜5を確かめる短い説明文を、編集部が作りました。保護者の方が文章と設問を渡し、口頭か紙で答えてもらう形を想定しています。問2と問3の前に、手順4のやり方を伝えておいてください。解答と解説は保護者の方向けです。
【確認問題】(編集部作成)
下の文章を読み、問1から問3までの設問に答えてください。
本や資料に付箋を貼る人は多くいます。それは、付箋が見返す場所の目印になるからです。ところが、気になるたびに貼ると、数が増えすぎて、どれが大事か分からなくなります。そこで、色ごとに使い道を決める方法があります。たとえば、青は大事な所に、赤は分からない所に付ける決まりです。色で分けておくと、あとで見返すときに探しやすくなります。
問1 「それ」が指す内容を、本文の言葉をもとに答えてください。
問2 「ところが」の前の内容と後ろの内容は、どのような関係ですか。「前は〜、後ろは〜」の形で答えてください。
問3 「そこで」で始まる文は、前の内容を受けて、何を述べていますか。
【解答】
問1 本や資料に付箋を貼る人が多いこと。「付箋を貼ること」も認めてかまいません。「付箋」だけ、「人」だけの答えは、「それ」の位置に入れると意味が通らないため認めません
問2 前は付箋が目印になる良い点を述べ、後ろは貼りすぎると困ることを述べていて、反対の向きの内容が続く関係(逆接)。「逆接」の語がなくても、「反対」と言えていれば認めてかまいません
問3 前の「数が増えすぎて、どれが大事か分からなくなる」という困りごとを受けて、その対策(色ごとに使い道を決める方法)を述べている
【解説】
問1は、手順1〜3の確認です。文頭の「それ」に丸を付け(手順1)、直前の文全体まで候補を広げ(手順2)、「付箋を貼る人が多いこと」を入れて読み直します(手順3)。
問2は、手順1・4・5の確認です。「ところが」に四角を付け(手順1)、前の文は便利、後ろの文は困る、と短く言わせます(手順4)。反対の向きと言えたら、逆接の名前と結びます(手順5)。
問3は、手順1・4の確認です。「そこで」は「そ」「こ」を含みますが、前後をつなぐ働きなので四角で囲みます(手順1)。前は困りごと、後ろはその対策、と言えていれば、前後の関係を読み取れています(手順4)。
※本問は編集部が作成したオリジナル問題です。学校のテスト・教科書・市販ドリルからの転載ではありません。
間違えやすい罠:直前の語だけで決める、形だけで判断する
確認問題で想定される誤答を5つ並べました。右列の理由は編集部の推定です。
| やりがちな間違い | 正しい進め方 | なぜずれるか |
|---|---|---|
| 問1を「付箋」や「人」だけで答える | 「付箋を貼る人が多いこと」まで言葉にし、「それ」の位置に入れて確かめる | 直前の1語で決め、手順3の当てはめを飛ばすため |
| 問2を「同じ内容が続いている」と答える | 前は目印になる良い点、後ろは貼りすぎの困りごと。反対の向きと読む | 「ところが」を飛ばして読み、手順4の前後の確認を省くため |
| 問3で、「そこ」が指す場所を探す | 「そこで」は前後をつなぐ接続語。前の困りごとと、後ろの対策の関係を言う | 「そ」「こ」の形だけで指示語と決め、手順1で働きを確かめないため |
| 問2を「逆接」とだけ答える | 名前に加え、前後で何を述べているかの一言を添える | 前後の文を言う手順4を飛ばし、名前から当てるため |
| 問2を「前の文を言い直している」と答える | 前を言い直す語は「つまり」など。「ところが」は前と反対の向き | 語の働きの暗記だけで当て、前後の文を読み比べないため |
次に学ぶ単元:記述問題の書き方へ
次は、字数と文末を整えて書く段階です。お子さんがつまずく場合は、前提の単元に戻って確認してください。
- 前提になる単元:国語 説明文の読解のコツ 要点のつかみ方
- 次に学ぶ単元:国語 記述問題で点を失いやすい書き方と確かめ方
- 関連する単元:国語 物語文の読解のコツ 心情の読み取り方
【出典】
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編」PDF https://www.mext.go.jp/content/20220606-mxt_kyoiku02-100002607_002.pdf (2026-10-03 確認)
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編」PDF https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387018_002.pdf (2026-10-03 確認)
※本文で「解説は〜」と述べた箇所のうち、引用ブロック以外は、上記の解説をもとに教え方の地図 編集部が要約・加工したものです。文部科学省が作成した文章ではありません。
※学習指導要領は改訂されることがあります。本記事の記述は上記告示時点のものです。
まとめ
- つまずきは、指示語を直前の1語で決めること、接続語を飛ばすこと、接続語と前後の関係が結びつかないことの3点です(編集部の区分)。
- 指示語は、前の文から候補を探し、指示語の位置に入れて読み直して確かめます。
- 接続語は、前の文と後ろの文を短く言わせ、一言の関係にしてから、働きの名前と結びます。
本記事は家庭学習の参考情報であり、学校・専門機関の指導に代わるものではありません。 学習指導要領・教科書の内容は改訂されることがあります。最新の情報は学校・教育委員会にご確認ください。 → 免責事項
最終確認日:2026-10-03

